ザッ!
周辺に群がった使い魔を、鞭のようにした槍で一掃する。
銃を片手に持ったほむらはこちらを向いてコクリと頷いた。
あっちにも使い魔は群がっていたはずだが、ほむらは一瞬で退治したらしい。
さすがだな…と、あたしー佐倉杏子ーは、思った。
うっわ…また大量の使い魔が来やがった…
実を言うと、こんな状況になったのはほんの数分前だ。
街をぶらついててもなーんにも反応がないから、もう帰ろうかとか、ほむらと話していたら、いきなりソウルジェムに反応が出てきて…
それで魔女結界を暴き出して、今に至るというわけだ。
はぁ…あたしとほむらの最強コンビに勝てると思ってんのか?こいつら
合図と共に、ほむらは一瞬で使い魔の集団の中心に入っていた。
ほむらの能力は時間操作…時間を止めたりする魔法らしい。だから今も、ほむらが瞬間移動したように見えたのだ。
突然敵が目の前に現れ、使い魔達もびっくりしたらしくて、逃げようとするが…
ダダダダダダダダダダッ!
ものすごい銃声が辺りに響きわたる。
銃弾が使い魔にあたり、使い魔が消滅していく。
だが、やっぱりそれを逃れてくるやつも当然いる。
ここで、あたしの出番ってわけだ。
逃げてきたのを一気に薙ぎ払う。
それを繰り返し、繰り返し…
数分もすれば全員倒し終わった。
ほむらが急に目を見開いた。
……!?
あたしも気づいた…
とっさに胸のソウルジェムに手を伸ばす。
ほむらも、手のソウルジェムを外していた。
先程までは、この結界の魔女の反応で光り輝いていた。だが…今は…
そう。
ソウルジェムがいきなり異常な程に輝きだしたのだ。
それも、さっきの反応が可愛く見えるぐらいの。
戦わなくてはならない…
ほむらはそう言おうと思ったのだろう。
まあ、あたしとしては大歓迎だけどな!
…ただ問題なのは、ひよっ子共だ。まだ未熟なあいつらに、他の魔法少女と戦えるか……って、何考えてんだ、あたし。
べ、別にあいつらのことを心配してるなんてぜっっってぇにねぇぞ!
…うん、絶対にない!ありえない!し、所詮あいつらとはただの協力関係だ。だ、だから…
うわ〜…行動に出てたらしい。
はっずかし……って、ンなこと言ってる場合じゃねぇ!
と、とりあえず、この魔力を追ってみるか?
あ…
ここが魔女結界だということ、すっかり忘れてた…
…まずはここの魔女片付けるか?
ー数十分
…ったく、相変わらず連れないなぁ…
ほむらの片手には、真新しいグリーフシード。さっき、魔女を倒し終わったところだ。
もう、魔法少女の変身もとけている。
戦いに集中してて忘れてた…
あたしは指輪にしたソウルジェムを本体の形に戻し、魔力を集中させる。
…きた。また、輝きだした。ソウルジェムが。だが…
…そう。異常に輝くというか、普通の魔女を相手にした時と同じなのだ。
じゃあさっきのはなんだったんだ…?
いや…別に魔女でもなさそうだし、そこまで行きたいってわけでもねぇしな…。
…ん?あれ?自分で言って、自分の言葉に疑問を持つ。
魔女じゃない…ってことは!
そうと決まれば…!
あたしはソウルジェムをかざす。次の瞬間、光があたしの体を包み、あたしは赤い魔法少女姿に変身していた。
ほむらも、黒と白の魔法少女服になっている。
あたしとほむらはうなずき合って、その謎の魔力の根源へと駆けていったのだった…
TO be continued
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。