第4話

四杯目〜ストロベリーホットチョコ one
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2017/12/02 11:17
あら?こんにちは。
また、お会いしましたね。
さあ、今日のお客様はどんな方
でしょうか。

チリリン♪

あらら?今日の恋するお客様が
いらしたようです。

「いらっしゃいませ」

「こんちはーっ…」

「ご注文はお決まりですか?」

「あ、じゃあこのストロベリー
ホットチョコ、持ち帰りで
お願いします」

「かしこまりました」

お客様は、元気そうなショートヘアの
セーラー服の女の子でした。
すらりとした足と、膝の絆創膏が
活発な性格の運動女子、という
感じを醸し出しています。

「おまたせいたしました。
ストロベリーホットチョコ
お持ち帰りです」

「ありがとうございまーす」

さあ、お出かけの時間です。
トプン、とストロベリーホットチョコ
に飛び込んで、女の子が弾み気味
で歩くのと一緒に、ぴょんぴょん
跳ねました。

「ゆうひ!」

「…?あ、おせーよ、ふうか」

「すいませんねぇーっ」

女の子…ふうかさんは、べっと舌を
出しました。けれどどこか嬉しそう
です。気になったわたしは、
あったかいストロベリーホットチョコ
を握った、あったかい手袋の手に
おでこをつけました。
うっすら、ゆらゆら、甘い匂いの
湯気の奥に、いちごみたいに
甘酸っぱい、ふうかさんの恋心が
みえます。

“ゆうひと一緒だと、部活の疲れも
吹き飛んじゃうな〜っ!
ふたりきりだし、これって…
デート、かな?”

そんな心の声が、聴こえてきました。

「何買ったの?」

「んー?ストロベリーホットチョコ。
いる?」

「げ。いらねーよ、女子ってほんと、
そういうの好きだな」

「いいでしょー、運動した後って
甘いものが欲しくなるんだから!」

「え、お前運動してるの?
の割には全然4月と体型変わんねーな」

「うっせえ!してるっつーの!
同じバレー部だろ!」

“あっ…また乱暴な言葉使っちゃった
…”

あらら。どうやらふうかさんと
ゆうひさんはどちらもバレーボール部
で、ふうかさんはゆうひさんに
甘酸っぱい恋心を抱いているようです。でも、素直になれないのですね。

おふたりはそのまま、夕方の通学路
を歩いて行きます。

“今日言うって、決めたんだ!
絶対成功させてやる…!”

あらら?どうやら、ふうかさんは
ゆうひさんに告白することを
決めていたようです。お仕事の
予感がします!

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