第8話

決断
72
2017/12/03 23:21
俺達は毎日を大切に過ごした。









夜になるとあなたは月を見て涙を流し、










朝を迎える度、切ない顔を見せ、










日中は愛おしそうな顔を見せた。










三日目の夜。










まるで日中の様に空が明るくなった。










空から、この世には存在しない様な









真っ白な、無表情な人々があなたを迎えに来た。










『あなた様、お迎えに上がりました。』










家に帰れるはずなのに、あなたは下を向いている










帰って欲しくない、帰したくない。








でも...、










白「あなた...お別れだよ。」









すると、










「嫌...嫌ッッ!!」










聞いたことのない大声を出した。










『あなた様、早く。』










「嫌よッッ...シオンと別れたくないッッ...」










『いいから、帰りますよ。』










そう言うと、真っ白な粉をあなたに飲ませようとした










『あなた様、お口をお開け下さい。』










あなたは目も合わさず粉を手で弾いた。










『あなた様!飲まなければなりません!』










するとあなたは涙を流しながら振り向いた。










「シオンッッあれを飲んだら、帰らないといけない!」










次の一言は、俺を行動させるのに最適だった。










「あれを飲んだら、死ねないのッッ!!」










強い瞳から零れる涙は俺に伝えた。










《私を殺して。》










白「でもッッ...あなたはっ...!」










彼女は、柔らかく微笑んだ。










「あなたといれるなら、どこだっていいの。」










固まっていた体が解き放たれた。










真っ先に台所へ向かい、包丁を手にした。










あなたは、連れて行かれないように抵抗していた。










「シオンッッ!!早くッッ!!」










涙でぐちゃぐちゃな顔で必死に訴えた。










俺は手に力を込めた。

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