第6話

会いたいよ
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2017/12/09 04:46
お父さんとお母さんは共働き

だから、こんな昼間に帰ってきても誰かがいるはずはなかった

あたしは靴を脱ぎ捨て、階段を駆け上がると

自分のベットに飛び込んだ

さっきの事が頭から離れない


『雪乃にあたしの気持ちなんて分かんないよ!』

『もう皆、あたしの事なんてほっといて!』


「はあ…もう、最低」

顔を上げると机の上には楓翔との思い出が並んでいた

記念日にもらったプレゼント

デートの時にお揃いで買ったグッズ

2人とも幸せそうに笑ってる写真

そして、ペンダント

「……」

あたしはそのペンダントを手に取った

これは楓翔からじゃない

楓翔のお母さんから遺品として受け取ったものだ

きっと、貴方へのプレゼントになるはずだったからと

ギュッ

「…会いたい……会いたいよ」

あたしは枕に顔を押し付けて泣き続けた

去年、あれほど泣いたのに…

今でも思い出すたびに涙を流しているのに

涙が枯れることはなかった

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「……んっ…」

目を覚ますと外は真っ暗になっていた

いつのまにか眠ってしまったようだ

「あれ?」

不意に机の上を見ると1通の便箋がおかれていた

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