第7話

手紙
100
2017/12/09 04:47
おそるおそる便箋を手に取った

便箋の表面には『日向へ』と書かれていた

だが、肝心の差出人の名前はどこにもない

「一体誰が…」

今時、手紙をもらうことなんてほとんどないのに

とりあえず封を開け、手紙を取り出す

そこにはたった一文だけ書かれていた

『お前は今、幸せか?』と

「は……何なの?」

あたしが今おかれてる状況を知ってる両親

雪乃や亮太がこんな事をするはずがない

ましてや、誰かも分からない第三者に

そんな事を尋ねられて、答える義理はない

あたしは手紙を封筒に戻し、机の中にしまった

「日向、ご飯よー!」

「はーい」

名前を呼ばれ、あたしは1階に降りた

それからご飯を食べて、お風呂にはいって

少し勉強してからベットに横になった

「……」

あの手紙の内容が頭を過った

『お前は今、幸せか?』

…幸せなはずがない

楓翔がいなくなったあの日から

そんな気持ちは消えてしまった

「…早く忘れよ」

あたしは布団を深くかぶり、目を強く閉じた

眠れるか心配だったが

いつのまにか、深い眠りについていた

プリ小説オーディオドラマ