次の日の朝
「おはよう、日向」
教室の前で雪乃と鉢合わせた
いつも通りの挨拶
でも、どこかぎこちない様子だった
「…おはよ」
それだけ返し、1人で教室に入った
席につこうとした時、不意に亮太と目があった
何か言いたげな表情だったが、声をかけてはこなかった
「あの3人どうしたの?」
「喧嘩でもしたんじゃない?」
「きっと2人も日向の態度に疲れたんだよ」
周りではヒソヒソとそんな話をしている
うるさいし、2人とは気まずいな
学校休めばよかった
結局、2人と話すこともなく学校は終わった
家に帰って鞄を置き、ベットに腰かける
「はあ…何か疲れた」
『お前は今、幸せか?』
あたしは立ち上がり、引き出しから昨日の手紙を取り出した
「……」
いたずらかもしれない
けど、それでも誰かにこの気持ちを聞いてほしかった
あたしは便箋とペンを取り出し
『幸せじゃない。今すぐにでも消えてしまいたい』
それだけ書いた
「…これってどうするばいいんだろ?」
出そうにも住所が書いてるわけじゃない
「机に置いとけばいいか」
あたしは便箋を封筒に入れ、机の上に置いた
少しだけ返事が来ることを期待しながら
だが、夜になっても封筒が持っていかれることも
新しい手紙がくることもなかった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!