「ははっ、いたずらだったんだ」
そりゃ、そうだよね
自分でも己の気の迷いに笑えてくる
それでもまだ、僅かな望みが捨てられなくて…
「明日の朝、こなかったら捨てよう」
それで踏ん切りがつくはずだから
あたしはベットに入り、静かに目を閉じた
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日差しが部屋に差し込み、その眩しさに目を覚ました
ボー
結局、気になって熟睡は出来なかった
「……あ!」
机の上にはあたしのものではない
新しい手紙が置いてあった
「っ~、さむっ…」
布団から出た瞬間、寒さが肌を突き刺すが
それにも負けずあたしは手紙を掴んだ
12月13日
クリスマスまで1週間と5日
この手紙が自身を大きく変えていくことを
あたしはまだ知らない
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!