第13話

谷崎楓翔 ③
77
2017/12/12 01:27
デート当日

水族館、ショッピング、イルミネーション

とデートはシンプルなものだったが

楓翔が懸命に考えてくれたのを知ってたから

すごく嬉しかった

そして、最後のイルミネーションで0時少し前……

「楓翔、今日は本当にありがとう!すごく、楽しかった♪」

「なら、よかった。…日向」

「ん?」

「今日、言おうと思ってたんだ。……俺、ずっと前から日向の事が…」

カーン カーン

楓翔の言葉を遮るように時計台の鐘が大きく響いた

鐘が鳴り終わるとあたしは楓翔に尋ねた

「何を言いかけたの?」

「っ~。俺、すげぇかっこわるいじゃんか。……日向が好きだ。俺と付き合ってくれ!」

「!…はい」

「…っ、よっしゃー!」

楓翔はまるで子供のように喜んだ

「けど、最後が決まんなかったのは残念だな。まあ、楓翔らしいっちゃらしいけど…」

鐘が鳴るということはクリスマスの終わりを意味する

だから、あたしたちの記念日は26日ということになる

「…悪かった。じゃあ、お詫びにこれやるよ」

楓翔はあたしの手首にブレスレットをつけてくれた

「綺麗…」

「俺とお揃いな!…日向、来年こそは一緒にクリスマスすごそうな(ニカッ」

そう言って楓翔は笑った

「うん!約束だよ?」

あたしもつられて笑った

顔はすごくイケメンというわけじゃないし

マイペースでやり方は強引だけど

いつもあたしを優しく気遣い、想ってくれる

それな楓翔のことが大好きだった

だから、ずっと一緒にいたいと思っていたし

未来がそうなると信じて疑わなかった

けど、去年のクリスマス2週間前に

楓翔は交通事故に巻き込まれこの世を去った

「何で…何でよ!一緒にクリスマス過ごそうって約束したじゃん!楓翔ー!」

何日も、涙が枯れそうなくらい泣き続けた

あたしは支えを、幸せを、愛しい人を

全て失った


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