あたしは机の上に突っ伏していた
トントン
肩をつつかれ、顔を上げると雪乃と亮太が心配そうな顔をしてた
「日向、どうしたの?」
「ここんとこ、元気ねえぞ?」
「……」
2人にはまだ手紙の事を話していない
どんな反応をされるか分からなかったからだ
けど、もうそんな事をいってる場合ではない
「実は……」
あたしは2人に全てを話した
2週間前から不思議な手紙が届いてたこと
色々なアドバイスをもらったこと
そして、急に手紙がこなくなったこと
2人はあたしが話し終えるまで真剣に聞いてくれた
「へー、不思議な事もあるんだね」
「てか、そいつまるで未来がみたいだな」
「信じてくれるの?」
「当たり前でしょ!けど、どうして急に手紙をやめたんだろう?」
「あたしには何も…」
「なんかその手紙の主、楓翔みたいだな」
「「え?」」
楓翔?
「だって、日向の事をすごい大切に思ってるんだなって思えて」
「まさか、だって楓翔は1年前に……」
しばらく、あたしたちの間に沈黙が流れた
その流れを立ちきったのが亮太だった
「とにかく!もう1度手紙を書いてみたらどうだ?今度は遠回しにじゃなく、ストレートにお前は誰だって?」
「んー…まあ、亮太にしてはいい考えね」
「んだと!」
「それと自分の正直な気持ちを書いたら?アドバイスをもらったお礼がいいたいとかさ」
どちらも自分1人では思い付かなかった
打ち明けてよかったな
「ありがとう、2人とも。早速やってみるよ」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。