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第18話

尋問室
あなたside




私は、中央塔の頂上にある林の中を、オウニの背を追いながら通って行く。

何となく思ってはいたが、どうやら上から飛び降り、尋問室に近い大窓へと向かう気のようだ。


林を抜けると、そこはまさに断崖絶壁。

目の前を遮る物は、何もない。
オウニ
オウニ
上から行く方が労力がかからないからな
あなた

そうだね、まあ…飛び降りることになるけど

オウニ
オウニ
怖かったら、来なくていいんだぞ?

オウニは意地悪そうにそう言って、口元を三日月に緩める。

あなた

怖くないもん!…ただ、ちょっとだけ…高いかなぁ〜、って…

オウニ
オウニ
…確かに。失敗は出来ないな
あなた

やめてよ、そんな怖いこと言うの…

オウニ
オウニ
ふっ
あなた

あっ!今笑ったでしょ!

オウニ
オウニ
いや


私たちは笑い合い、そして共に足元を見る。



その目に映った光景に、私は言葉を失った。



オウニ
オウニ
…先約がいるみたいだな
あなた

はぁー…よりにもよって、なんでチャクロなの…

オウニ
オウニ
?知ってたのか?
あなた

オウニがいない間に、ちょっと色々あってさ

オウニ
オウニ
……。後で聞かせろ
あなた

え?…う、うん…



どうして、後で聞かせろなんて…。

そんな重要な話でもないんだけど…。


オウニ
オウニ
俺が先に行く。あいつが落ちた時は、頼む
あなた

……。…うん



オウニ、この高さじゃ助けるとか言う現実味がないよ。


オウニ
オウニ
…じゃあ、すぐ来いよ
あなた

うん、始めよっか



私たちふたりの、賭けを。










ハム
ハム
はきゅっはきゅっ!はきゅーっ!!
チャクロ
チャクロ
ん?どうしたんだ?おまえ…
オウニ
オウニ
頭の上に気をつけろってさ
チャクロ
チャクロ
えっ?うわあっっ!!!

パシッ…

あなた

おっと…危ない危ない…

チャクロ
チャクロ
あ、あれ落ちてない…あっ!!君は…っ
あなた

しー…しばらくここで待ってて

チャクロ
チャクロ
…??



私がチャクロを引き上げ、大窓から尋問室の窓に飛び移ると、オウニは情念動でその窓の扉を破壊した。


ナシジ
ナシジ
うわぁっ!!
シラアイ
シラアイ
きゃあああっ
ハクジ
ハクジ
お前は…っ!


私たちの影がふたつ、尋問室に長く伸びる。



シラアイ
シラアイ
あっ…あなた…っ
あなた

…っ





シラアイさん…っ。






オウニは中へと入り、情念動で様々なものを浮かす。


ハクジ
ハクジ
オウニ!
ナシジ
ナシジ
やめなさい!
ハクジ
ハクジ
こんなことをして…!
オウニ
オウニ
じいさん、ばあさん


オウニはそのまま歩いて行き、島の人間と思われる女の子の手をがっしりと掴んだ。


オウニ
オウニ
俺はこいつの世界を見に行く。あんたらは…ここで一生、泥船ごっこでもしてろよ…!
ハクジ
ハクジ
やめなさい!!
オウニ
オウニ
行くぞ、あなたっ
あなた

うんっ


大窓へと足をかけ、私たちは頷き合う。


ハクジ
ハクジ
待ちなさい、オウニ!
オウニ
オウニ
お前も来い…っ!
チャクロ
チャクロ
リコスッうわああっ!!落ちるっ!

私は3人が飛び降りた後、それを追えるように、一度脚を屈ませた。


シラアイ
シラアイ
あなた…っ!!


ビクッ!



オウニ
オウニ
っ!あなたっ!!


オウニたちは、下へと消えて行く。




私は、シラアイさんの声に反応してしまった。

オウニたちはもう見えない。


シラアイ
シラアイ
あなた…あなたは、あなたは行かないわよね…?
ハクジ
ハクジ
あなたっ、戻っておいでっ!
あなた

ぁ…ぁ…



長老会の人たちは、みんな優しく私に接してくれた。

私を、助けてくれた。

なのに、私は……。



ハクジ
ハクジ
行くなっ…ここに、いてくれ…っ
あなた

は、ハクジさん…っ


私は、バッと振り返る。


あなた

わたし…わたし…っ

ハクジ
ハクジ
あなた、今まで体内で寂しい思いをさせて悪かった…


ハクジさんは、私に大きな手を差し出す。


あなた

あ…あぁ…


それがつらくて、悲しくて、嬉しくて…私は手をゆっくりとあげる。



ハクジ
ハクジ
ほら…おいで……オウニなんかについて行かずとも、私たちが…
あなた

っ!!






グワンッ!!






ハクジ
ハクジ
あなたっ!



私自身にも、わかった。



私の情念動で、この空気が歪んだのが。






アウラは、私の周りを囲むように連なり、二重の輪をかけた。

風を起こし、周りに誰も近づかせないようにした。




ハクジさんの手から赤い線が引かれた。


私のアウラで手を切ったようだ。


ハクジ
ハクジ
…っ…どういうことだ…っ、なぜアウラで…


そう言って私を凝視したが、私は気に留めなかった。











あなた

今…『オウニなんか』、と言いましたか?



私の口からは、今まで聞いたことがない声が出た。

ハクジ
ハクジ
あなた…っ


長老会の人たちは、みんな後ずさりして、情念動を警戒している。




あなた

オウニは、私の大切な人…



どうしようもなく悔しかった。

オウニの所為にして欲しくなかった。

裏切りなんて知るものか。

私の中は怒りでいっぱいだった。



あなた

オウニを侮辱することは、このクレナが許さないっ!

ハクジ
ハクジ
っ…!


みんなは下を向いて、顔を苦しそうに歪める。

その反応に、少し脳が冷静になった。



あなた

…ごめんなさい…恩知らずな子で

ハクジ
ハクジ
あなた…



私は薄く笑ってこう言った。












 

あなた

いってきます

ハクジ
ハクジ
あなたっ!!
シラアイ
シラアイ
あぁ!!








私は後ろに一歩下がりながら窓から飛び降りた。




















もう、怖くない。






風も、光も、雨も、砂も…みんな必要なんだ。


外は、幾千のもので複雑に出来ている。


ぶつかって砕けて、それを修復して、時には捨てて、この世は出来ている。





そうして、人も分かり合っていくんだ。













情念動で、ふわりと降り立つ。

ここは居住区にほど近い。




降りた場所にオウニはいない。


私はオウニに信頼されているんだ、と実感した。



私は駆け足でヒゲ広場に向かった。