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第5話

秘密の場所
あなたside


マソオ兄さんが出て行ってから、私は秘密の場所に向かった。

あなた

相変わらず砂っぽい…

髪は砂を取り込んでギシギシしてるし、
服は少し払っただけで埃みたいに砂が出てくる。

やっぱりよくこんな場所に住めるよぉ。

それが普通か…。


『秘密の場所』


それは、教えない。

ただ、私のお気に入りの場所で、砂海に最も近い場所とだけ言っておく。

ここは、おそらく誰も来たことが無いだろう。

だから『秘密の場所』。


そこに着くには情念動サイミヤが必要で、私はそれを発動する。
その場所へ降り立つと、およそ三メートル四方の地に、天然の花畑が広がっている。
あなた

久しぶりだね、ウイジゴケちゃん

私がそういうと二、三匹のウイジゴケが花の影から飛び出して来た。
そして私の肩に乗る。
あなた

かわいいなぁ!

撫ぜてやると、手に擦り寄って来る。
それが愛らしくて、にやけが止まらない。
あなた

ウイジゴケちゃん、ちょっと寝てもいい?

すると、ふわふわと胸に乗った。
持っていた、食べ物が入ったカゴを置いて、
ゆっくり身体を地に預けると、浅葱色の空が広がる。
風が心地よくて、眠りを誘う。

こんなところで寝たら砂に埋もれても分からないだろうな。

別にそんな願望はないけれど。

もう一度、強く風が吹く。
その時、砂が目に入ったようで、反射的に目を瞑った。
それと同じように涙が滲む。

こんなことだけど、泣いたのは久しぶりだ。
今日は久しぶりなことがたくさんあった。

案外、外も悪くないかもしれない。








次に目を開けた時には、赤い空だった。
あなた

……え…

バッと起き上がると、ウイジゴケが胸から落っこちた。
あなた

え!まさか夕方?!

この空の色から考えて、今は夕方だろう。

一体何時間寝ていたんだ私は。
とにかく、家に帰らないと。
荷物を持った私は情念動サイミヤで上まで上がる。

あの階段までは、かなり急いで向かった。
誰かに見つかることがあまり好きではないからだ。

階段を降り出すと、やはり妙に安心する。

地下に慣れてしまった私。
そのせいでほとんど誰にも会ったことがない私。

でも、それでいい。
今はそう思っている。

誰にも知られることなく寿命を向かえるのも、運命なのかもしれない。





私が家に帰るには、どうしても、監獄の前を通らなければならない。
それが一番嫌かもしれない。
『あれは誰だ』と言う声が、所々聞こえるからだ。

よし。
覚悟を決めて、前を通る。

トントントンッ

靴の音が、私の鼓動の速さを表しているようだ。

ひとつ、ふたつ……監獄を通っていく。




その監獄の全てを通った時。

ニビ
ニビ
おーい!そこのねーちゃん!
ビクッ

え、今誰か呼んだよね?
私しか、女いないよね?
キチャ
キチャ
ニビ、やめとけよぉ。
そうか。
さっきの声の主はニビというのか。

じゃなくて!

とにかく、返事しなきゃ。

あなた

『ねーちゃん』って、私のこと?

監獄を覗いて、平然を装いながら言う。
ニビ
ニビ
そうそう!お願いがあるんだけど、聞いてくれよ



えー…。

やな予感しかしないし。
どうせ出せとかいうんでしょ〜。
あなた

…なにが望み?

ニビ
ニビ
ここから出してくれ。さっき入ったばかりだから、大人しくしてると思って、誰も見張りはいないだろ?
いや、確かにいないけど…。
そういうのって、悪知恵が働く、って言うんじゃなかったかな?
ジキ
ジキ
ニビ!
キチャ
キチャ
なに言ってるの!
男の声と、女の子の声が聞こえた。

一体何人いるのか…。

あなた

何人?

ニビ
ニビ
6人
結構いるのか。
見えただけでは3人ほどだったが、奥にもいるんだな。


私は、片手を伸ばして、鍵を外す。

何故手を貸したのか、私にも分からない。
ただ、この人たちが、あの『体内モグラ』ということは、『さっき入ったばかり』というニビさん言葉で分かった。
あなた

あとは自分の責任で、逃げるか、逃げないか選んで。

逃げることまで責任を取るのは、面倒だ。
ニビ
ニビ
……ほんとにやっちまったよ…
その言葉に、少しむっとする。
あなた

君が望んだんでしょ?

ニビ
ニビ
……
あ、黙らせちゃった…
ちょっと嬉しいかも。
あなた

私、行くね!

ニビ
ニビ
お、おい!まてよ!

ニビさんの声が聞こえたけれど、無視して家に帰った。


『体内モグラ』
次に会ったら、彼らと話がしたい。
そう思った。