第9話

仲間達の気遣い
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2017/12/02 13:50
オウニside
キチャ
キチャ
オウニ!その女の人が、さっき鍵を開けてくれた人なの?
オウニ
オウニ
あぁ
キチャ
キチャ
じゃあ、なんで気を失ってるの?
オウニ
オウニ
それは…
ニビ
ニビ
そんなの決まってるさ!オウニに見惚れて気絶したんだよ!
オウニ
オウニ
…おい
キチャ
キチャ
なんで気を失ってるの?
オウニ
オウニ
それは、情念…
ニビ
ニビ
そんなの決まってるって言ってるだろー?オウニがかっこよすぎて気絶したんだよ!
オウニ
オウニ
うるせえ
キチャ
キチャ
ニビしつこい
ジキ
ジキ
ニビしつこい
ブキ
ブキ
(苦笑い)
アイジロ
アイジロ
(苦笑い)
オウニ
オウニ
俺の手が塞がってるからって…
ニビ
ニビ
ははっ!わかったよー!
…でも、意外とオウニが落ちてたりして?笑
キチャ
キチャ
え!そうなの!
ジキ
ジキ
そうなのかっ!?
オウニ
オウニ
…違う
ニビ
ニビ
なに今の間、そうなの?笑
オウニ
オウニ
違うと言った
ニビ
ニビ
ま、そのうち俺たちにも分かるくらいに、
見せ付けられるようになるんだろうけど
オウニ
オウニ
どういうことだ
ニビ
ニビ
オウニは疎いことー
オウニ
オウニ
はぁ?
キチャ
キチャ
ニビ…オウニ怒ってる…
ニビ
ニビ
おぉこわ笑
キチャ
キチャ
!どこ行くの?!
ニビ
ニビ
お前らついて来い。 あ、キチャはオウニと一緒にいろよー
キチャ
キチャ
え、ニビ!!まってよ!
ニビは3人を連れて、先に暗闇を行ってしまった。

キチャ
キチャ
オウニ…怒ってる?
オウニ
オウニ
いや
キチャ
キチャ
……手の色、変わってきてるよ?
オウニ
オウニ
…あぁ
キチャ
キチャ
どこかで休も
オウニ
オウニ
わかった
キチャは、ずっと『あなた』を抱き上げている俺を心配して、基地まであと半分のところで休むように言った。

俺は『あなた』を草むらに寝かせると、キチャが駆け寄って、自らの腰紐を解き、頭の下に置いた。

よく出来た子だと思う。


キチャ
キチャ
…この人は、なんで気を失ったの?
オウニ
オウニ
…俺のせいだ
キチャ
キチャ
え…?
先ほど同じことを聞かれた時、俺は情念動のせいだと言おうとした。
だが、なぜ情念動を使わなければいけなかったのかと言うと、やはり俺が突然現れたからだ。

『あなた』が倒れたのは、俺のせいだ。

キチャ
キチャ
そう、なの…
オウニ
オウニ
キチャ
キチャ
なら、ちゃんと看病しないとね!
オウニ
オウニ
あ、ああ

本当によく出来た子だ。
何者かも分からないやつを、看病すると言うのだから。



その後、俺たちはいつもより少し時間を掛けて基地に着いた。

着いたは良いものの、何しろここは寝具のひとつも無い。
なので、どうしようかと、キチャと話し合っていた時。

ニビ
ニビ
遅かったかー?
ニビたちが帰ってきた。





その両手に大きな荷物を抱えて。

ニビ
ニビ
どうせオウニのことだから、その女から情報を集めようとしてたんだろうけど、
寝具がひとつも無いことくらい気づけよな笑
ニビは掛け布団、ブキは敷布団、ジキとアイジロは食べ物を持っていた。
オウニ
オウニ
すまねぇ
ニビ
ニビ
いいって! そんなことより!
ブキ、部屋の奥に敷布団敷いてやって
ブキ
ブキ
わかった
ニビ
ニビ
オウニ、ほら、そこ寝かせてやれ
オウニ
オウニ
ああ
『あなた』を布団におろす、が、俺の服をぎゅっと握りしめているため、離れるのを躊躇う。

ニビ
ニビ
随分、気に入られたな笑
オウニ
オウニ
…そんなはずはない
ニビ
ニビ
まぁ、あとは任せた!
オウニ
オウニ
…おい
ニビ
ニビ
ふわぁ〜。その寝具、調達するのにわざわざマソオに頼んだんだからなぁ〜。
オウニ
オウニ
それは、ご苦労だった。
ニビ
ニビ
なんで出てんだとか言われるし、仕方ないから、その女を使ったのが終わりだった。マソオがそいつのこと知ってたんだよ。
オウニ
オウニ
そうなのか?
ニビ
ニビ
ああ。名前は…あなた、だったか?
歳はお前と同じ。体内エリアに住んでるんだと。今日は外に出てきていたらしいぜ。
オウニ
オウニ
そうか…
ニビ
ニビ
…。ま、そいつのことはオウニに任せて、飯食おうぜ!
そう言って皆は部屋の外に出ていった。


残された俺は、あなたの横に座る。
依然、服を握りしめたままだった。
俺は、その手をそっと服から離して、握った。

人の手なんて自分から握ったのは、これが初めてかもしれない。

ほのかに暖かくて、和む。


俺は、あなたの横に寝そべった。

いつもは寝付きが良い方ではない。
仲間たちと寝る時も、中々眠れない。


だが、なぜかあなたの体温に触れていると、自分でも気付かないうちに眠ってしまっていた。

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