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第10話

ウイジゴケを纏う人
あなたside 



どこかわからない、薄暗い場所にいた。

目の前にはたくさんの人がいる。

でも、みんな、地面に転がっているんだ。

私も、苦しくって、息ができなくて。

このまま、いなくなってもいいような気もしている。

それでも、楽になんかなれない。

だから、私は本能的にもがく。



『必ずあなたを救い出す。』


そう思って、足掻いている。

私は『あなた』が誰かもわからないのに、

その『あなた』のために、足掻く。


どうすれば、『あなた』を救うことができるのか。

薄れていく意識の中で、たくさんの知識を最大限に使う私。


その結果、

私は、抵抗するのをやめていた。

もがくのをやめていた。

手をダラリと下におろして、ただ、この未来さきを待っていた。



これは夢だ。

すぐに覚める。

こんな苦しい夢も、所詮は夢だから…。



首元に、熱く、血が止まるような感覚がある。

同じく、意識が薄れてくると、身体の奥から何かが疼きだした。

苦しいのに、本能的に「これでいいんだ」と知っている。



私の意識は、もう一度真っ暗な闇の中に消えていった。


あなた

……ん

目が覚めると、見慣れない天井が広がった。 

頭がぼやっとしていて、身体が重い。

先ほどの夢の苦しみが続いているみたいだ。


…そういえば、私、布団なんかに寝てたっけ?


あれは、知らない人が来て、情念動を使って、それで、ガス欠で倒れたところをその人が支えてくれて…。

それで、どうなったんだ?


全く記憶がない。


知らない天井といい、どこかに連れてこられたのか?
あなた

はぁ

情けない。 


外の人の世話になるなんて、随分私も弱くなったものだ。


スー…
あなた

え…

何か音がして右を向くと、そこで人が眠っていた。 

驚きすぎて、声も出ない。



あれ?

この人、私を支えてくれた人だ。

運んでくれて、疲れちゃったのかな?



というか、なんでこっち向いて寝てるの…?

かなり美形だし、私だって恥ずかしい。
あなた

……え

私の手、握ってる…。 


なにこれ。

めっちゃ可愛い。


寝顔、天使だ。

なんか、怖そうな人だったのに、すごく幸せそうに寝てる。


私は、その頬を指でつつく。

女の人みたいな綺麗な顔に、長い髪がしたたる。

私だけが黒髪と思っていたけれど、この人も青み掛かっているものの、黒髪だ。

髪の色は、妙に親近感が湧く。



それにしても、起きないなぁ。

ぐっすりじゃないか。
あなた

人肌が恋しかったのかー?

小声で問うが、反応はない。

まあ、いいや。

寝てる顔、可愛いから。


私は、彼に布団を半分掛けて、向かい合い、手を握り返す。


なんかこんなことって、特別な人としかしちゃダメな気がするんだけど、
今は私が、人肌を恋しかったのかもしれない。

この人なら、大丈夫だなんて思ってた。


起きたら、びっくりするかな?

そんな悪戯心も芽生える。


暖かい手が、とても恋しい。



いづれは砂に召される運命なのなら、せめて、少しこの人を知ることくらい許してほしい。

…ウイジゴケなんて、普通の印ひとにはつかないから、この人は少し特殊な人だろう。


あなた

私は、あなたに、なにを聞かれても答えると約束する、


だから、今は甘えさせて…。

そう言って、私は彼の胸に額をつけた。