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第12話

鈍感
あなたside
あなた

じゃあ、オウニからどうぞ

私がそういうと、オウニは速攻で言葉を返してきた。
オウニ
オウニ
まずは出生。知っていることを全て言ってくれ。
私たちは、朝早くだったこともあり、みんなを起こしてはいけないということで、 一度、体内モグラの基地から下に降り、人影のない場所まで行った。


私が手頃な泥の岩に腰を掛けると、オウニも私と少し距離をとった場所に腰掛けた。
あなた

出生日時、親、その他 幼いころの記憶は全くない。ある時期から記憶はあるけれど、それも7年ほど前から。

オウニ
オウニ
あなた

だから、出生とか詳しいことは分からない。

オウニ
オウニ
……
あなた

どうしたの?

オウニ
オウニ
なんでもない。



普通、何か反応するでしょ。

随分と思い詰めたような顔にも見えるし。
あなた

オウニ

オウニ
オウニ
なんだ
あなた

先にひとつだけ言っておくね。何か気づいたのなら すかさず言うこと。

オウニ
オウニ
……
あなた

わかった?

オウニ
オウニ
…ああ
あなた

じゃあ、何に気づいた?

オウニ
オウニ
そんなに重要なことじゃない
あなた

それは私が決める

オウニ
オウニ
俺も、全く同じだったから、驚いただけ
あなた

…全く同じって、出生不明で、親無しで、幼い頃の記憶がないこと?

オウニ
オウニ
ああ
あなた

オウニも?

オウニ
オウニ
ああ
嫌な感じだなあ。

出生の時点で共通点があるなんて、

あなた

…普通、じゃないよね。こんな偶然

私は、わざと大きく苦笑いする。
オウニ
オウニ
案の定、オウニは怪訝そうな目で私を見つめている。
あなた

そんな顔して、せっかくの美形がもったいないぞ

オウニ
オウニ
あなた

ははっ 黙っちゃった

オウニ
オウニ
お前こそ、隠しているだろ
あなた

なにが?

オウニ
オウニ
わざとなのが、丸分かりだ
あなた

そう?まあいいじゃない

オウニ
オウニ
相変わらず、この人は鋭い。

容易な嘘は、つく気はないけれど、すぐ見破られそうだ。

あなた

じゃあ、そのことについて私からも質問

オウニ
オウニ
ああ
あなた

オウニも幼い頃の記憶はないの?

オウニ
オウニ
9歳から、ある
あなた

じゃあ、親の記憶もないんだ?

オウニ
オウニ
ない
あなた

…記憶がないって、けっこう不便じゃなかったの?

オウニ
オウニ
どういうことだ
あなた

外の人達は、班を作って生活するらしいじゃない?
記憶がないんじゃ、班も分からないでしょう。それまでどうして暮らしてきたの?

オウニ
オウニ
…分からない
あなた

だよね…というか、私も記憶ないんだった

オウニ
オウニ
お前はなぜあそこに住み始めた
あなた

…私は…

これは言うべきなのだろうか。

これがもし、オウニと繋がっていたなら…。

ありもしないことだが、色々な仮説が立てられていく。

これは、言ってはいけない…

そうだ。見ただろう、あの目を…

あんな目を向けられるのはもう嫌だ…
オウニ
オウニ
…先にひとつ言っておく。俺を信じろ
あなた

え…

オウニ
オウニ
俺はお前のことが知りたい。だから、全部教えてくれ
そんな曇りのない目で見ないでよ…。

私の『掟』が破れちゃうじゃない。


でも、とても嬉しかった。

誰かに、知りたいなんて言われたのは初めてだった。

だから、あなただから言おうと思った。
あなた

…外の人に、殺されそうになったの。

それだけははっきり覚えてる。その日が、私の記憶の初日だから。

オウニ
オウニ
どういうことだ。だれが…
あなた

…分からない。ただ、あの時の私に分かったのは、自分より遥かに大きい人達が、私に弓や剣を向けていたこと。明らかな、敵意の目でね

オウニ
オウニ
あなた

その時は、長老会が助けてくれた。壁を作るようにして守られていたけど、それでも怖かった。

だから、閉じこもった。外の人間なんて信じないって、私に誓いを立てた。そして、今に至ってる。

私が言い終えると、オウニは沈黙した。

その顔は、知っているものを、全て繫ぎ合わせようとしているようで。

私は膝に頬杖をついて、その様子を見ていた。


マソオ
マソオ
あなたー!!
あなた

うわあ!!

突然、私を呼ぶ声がして、私は腰掛けていた岩から転げ落ちる。
オウニ
オウニ
なにやってる
あなた

いったぁ…げっ、やっぱりマソオ兄さんか

マソオ
マソオ
あなた!倒れたんだって?!大丈…おい!
あなた

オウニ、逃げよ!

オウニ
オウニ
あなた

はやく!行くよ!

私はオウニの手を取って、走り出した。
マソオ
マソオ
なにも逃げなくていいだろ!!
オウニ
オウニ
俺もそう思う
あなた

どんな説教くらわされるか、想像するだけで吐き気がする…

オウニ
オウニ
…あぁ


今ので、オウニは納得したようだ。

同じような経験があるんだろう。


あなた

うぅ…きつい

私はオウニを引っ張って、階段をひたすら駆け上る。
オウニ
オウニ
もう走らなくても、来てない
自分がどこに向かっているのか、私にはわかるはずもない。

だけど、人のいるところからは
あなた

…なるべく遠くに行かないと

オウニ
オウニ



その時、私の体が後ろに引っ張られた。
あなた

わっ…!

なんで引っ張るの…てか、落ちる!


結局、一段下に落ちた。
オウニ
オウニ
もう走るな。また倒れる
私は後ろを振り向く。

オウニが私の手首を後ろから掴んで、引き寄せている。

背中がとても暖かくて、安心するのと同時に、自分の意識とは正反対に、頬がカァッと熱くなる。
オウニ
オウニ
熱か?
あなた

ち、ちがう…

オウニ
オウニ
いや、こいつ鈍感過ぎ
あなた

…オウニ、疎いって言われない?

オウニ
オウニ
?…言われる
あなた

やっぱり…罪だなぁ

自分じゃ分からないうちに、相手をその気にさせるんだから。
あなた

と、とにかく…あなたの基地に戻ろ!

オウニ
オウニ
ああ
そう言って、彼の腕から逃げた。



この心臓の異常な打ち方を、私は知らない。

体中が、痺れるみたいに緊張している。


でも、嫌いな感覚ではなくて、

私の心はとても穏やかだった。