あの日の綺麗な紅葉を私は二度と忘れない。
夕暮れ時の神社、その色づき始めた木々の下で凛と立つあなたに私の心は奪われていた。
私、あなたは今年で高校2年生。幼稚園からずっと一緒にいる美桜とは親友と呼べる仲。学校の行き帰りはもちろん、クラスまで一緒だから、なにをするにも一緒だ。今日もいつものように学校を終えて、いつものように何気ない話をしながら美桜と帰ってきた。
美桜とは近所の古くからある神社で解散する。
神社から家は1分ほどで着くから、とても近い。
いつものようにおやつはなにかなーとか考えながら私は家に帰った。
この後に起こりうることなど、なにも知らずに…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!