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第1話

クリスマス
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2017/12/02 15:24
私、華咲栞「はなさきしおり」は毎年クリスマスの日に1人でステーキを食べに行くのが恒例だ。
恋人の居ない私には、クリスマスなんて関係ないし周りのリア充なんて興味無い。
だけど、家で1人ご飯を食べる気にはならないからアルバイトを終えてステーキを食べに来る。
人目を気にしないでお腹いっぱいになるまで食べれる幸福感に私は、どこのリア充達より勝ってると思ってる。
今夜もお腹いっぱい食べようと思っていた時だった。
案内された席に座り、メニューを広げ何がいいか吟味していると真向かえの席に急に誰かが座ってきた。
相席?とか疑問に思って顔を上げて見てみるとそこには、幼馴染みの黒瀬誠「くろせまこと」が笑顔で私を見ていた。
「何してるの?」
私は呆れたように聞いた。
今年の4月くらいに彼女出来たって噂で聞いたから私は1人残されたような気持ちになった。
だから、ここに黒瀬が居ることに腹が立った。
「クリスマスの日に1人か?寂しいやつだな?」
黒瀬は、ニヤニヤしながら私に意地悪してくる。
「うるさい、あんたこそ彼女は?」
メニューを眺めながら聞いてみた。
私からのちょっとしたいじわる返し。
「彼女ね~」
黒瀬は、そう言って一緒にメニューを見始めた。
どんな答えが返ってくるのかドキドキしていたのに、黒瀬は話す素振りも見せないでいた。

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