プリ小説

第6話

あの日。

「退院の準備は完璧!後は、遥斗とお母さんが来るのを待つだけ!」

思ったより早く目が覚めた私は、退院の準備を済ませ、ベッドに座っていた、そして昨日の夜の事を思い出していた。

私は、昨日すべての記憶を取り戻した。

どうして私は、記憶を失っていたのだろうか。
全くわからない。
嫌な思い出なんてほとんどない。
綾美と梨花と毎日楽しく過ごしていた。
遥斗とデートしたりして、毎日がすごく幸せだった。
何一つ忘れていい思い出なんてない。

違う・・・
一つだけあった・・・
私が一緒に暮らしてる家族はお母さんだけ。
おばあちゃんやおじいちゃんは、遠くに住んでいて、たまにしか合わない。

お父さんは・・・いない。
あんな人お父さんなんかじゃない。
あんな人関係ないよね。

私のお父さんは、女遊びが激しかった。
お母さんと結婚してからも、よく仕事と嘘をついて、いろんな女と遊んでいた。
たまにお母さんがいない時は、家にまであげていた。
私が家にいるのもお構い無しに。
でもお母さんは全部気づいていた。
一人で抱え込んで、一人で悩んでいた。
私がお父さんの話をしようとしたら笑顔で、

『大丈夫よ。お父さんは、仕事で忙しいんだから仕方が無いわ。』

なんて言ってた。
大丈夫なわけないじゃん。
あんな人とは早く離婚しちゃえばいいのにって毎日思っていた。
でも。その頃は、お母さんは働いていなかったから、お金のことを考えて離婚しなかったのだと思う。
それに、私の進学なども考えていてくれていたのだと思う。

1年前、あの人は飲酒運転をして事故を起こし、死んでしまった。
私は、全く泣けなかった。
ざまぁみろ、自業自得じゃない。とも思った。
・・・でもお母さんは、あの人の棺の前で泣いていた。
演技じゃない。
お母さんは、いくらあの人が浮気をしても、愛人を家に連れてきてもなぜ怒らなかったのか少しだけ分かった気がした。
お母さんは、あの人を。
お父さんを愛していたんだ。
お母さんは、すごいと思った。
そんなにも一人の人を愛すことができるお母さんが。
だから私もお母さんみたいに何をされても許せるくらい人を愛したい。愛せる人が欲しいと思った。

そして、出会った。
松田遥斗。
はじめて見た時は、かっこいい人だな〜でもかっこよすぎて私には釣り合わなそうだな。って思った。
でもある日、誰かから体育館裏に呼び出された。
なんか少し古いななんて心の中で思いながら体育館裏に行くと遥斗がいた。
なんだろう?と思っていると、

『お、俺、、いや、僕、、?、、えっと・・・えっと・・・あのー。』

なんかキョドってた。
・・・クスリ あっ、笑っちゃった。
そんな事考えていたら、

『俺、同じクラスの松田遥斗って言うんだ。』

『え?・・・あ、うん!知ってるよ?』

『あ、そっか、あの、俺、楠木の事が、好きなんだ。』

『・・・え?・・・う、そ。』

すっごく嬉しいと思った。
でも私みたいなやつでいいの?って思った。
でも、断る理由なんてどこを探してもなくて、

『よろしくお願いします。』

自分でも顔が赤くなっているのがわかった。
でも目の前で私と同じくらい顔を赤くして、嬉しそうに立っている遥斗。
それからすっごく楽しい日々を送っていた。
すっごく幸せだった。
私が記憶を失うあの日までは。

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🌸Jun🌸
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