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第5話

思い。
Said遥斗

高校の入学式の日、優結を初めて見た時、
一目惚れだった。
背中の真ん中くらいまで伸ばされた真っ黒で艷やかな髪、猫のように少しだけ、つり上がっている目、ぷっくりとした頬、真っ白な手足、華奢な体。
入学式の後、それぞれの教室に分かれ自己紹介をした。
自己紹介なんて、小学生じゃないんだから、なんて思っていた、自分の自己紹介が終わったあと他の人の自己紹介なんて、どうでもよかったから窓の外の桜を見ていた時、聞こえた声。楠木優結、とても目立つ容姿をしていたわけではなかった、と思う。
彼女の凛とした姿、透き通った声、堂々とした立ち振る舞い、自己紹介なんてどうでもよかったのに、彼女の声にはとても引かれるものがあった。
学校生活でも彼女は、目立ったことをする訳でも無い、頭がすごくいい訳でも無いあまり目立たない子だった。
なのに俺は、いつも目で追ってしまっていた。
自分の恋心に気づくのは結構早かった・・・と、思う。
2年にあがった時、また同じクラスになった時すごく嬉しかった。体育祭の日の前日、彼女を体育館裏に呼び出して告白した。
彼女が来るのを待っている時、今ごろ体育館裏とか古いな、とか思って一人苦笑いしていた。
優結に告ったとき柔らかそうなその頬を赤く染めて

『よろしくお願いします。』

って返事くれて、すっげー嬉しかった。
それに、めちゃくちゃ可愛いかった。
優結は思ってた以上によく話す子で、話していて全く話が尽きなかった、
毎日一緒に帰って、休みの日はデートしたり、
めっちゃ楽しい日々を送っていた。
でも、あの日、立花が泣きながら電話してきた・・・。

『ゆ、ゆいが、優結が車に、引かれちゃった…。』

優結が事故にあったっ日は12月24日、クリスマスイブの日の夕方頃。
次の日の12月25日は、2人でデートする予定だった。
立花と北野から聞いた話だが、その日は、優結が明日のデートのための服を選ぶのと、俺へのクリスマスプレゼントを買いに行くためだったらしい。
その帰り道、3人で談笑しながら歩いている時に、信号を無視した車が三人に突っ込んできたそうだ。
運転手がハンドルを思いっきり切ったおかげで2人は軽い傷で済んだが、車道側にいた優結は2人より少しだけ傷が多く、深い傷もあった。
しかし、頭を打ったわけではなかったのに、
優結は1週間目ずっと眠っていた。
すごく心配で、このまま目を覚まさなかったらって怖かった。
優結が事故似合ってから1週間後、学校で、立花と北野が教えてくれた、

『優結、昨日目が覚めたって!!』

『マジで!?』

『昨日、優結のお母さんが電話してきてくれて、普通に、話すこともできるって!』

『じゃあ今日学校帰りに行こうかな、』

『うん!それがいいよ!今日松田が行くなら私達は明日行こっかな!お邪魔だろうし!』

2人はニヤニヤしながらそんなこと言っていた。
いつもなら言い返すことろだが、優結のことで頭がいっぱいで、言い返すのを忘れていた。
放課後。優結に会いに行った、体に絆創膏や、ガーゼが貼られていたけど、いつもの優結だった。
なのに・・・

『ど、どちら様…でしょうか?』

びっくりした。いつもの優しい目ではなくて、少し警戒したような、怖がっているような目で優結が聞いてきた。俺が固まっていると、優結のお母さんが入ってきて、優結の状態を教えてくれた。
記憶喪失。
3年分の記憶を失っているらしい。
俺の事も忘れていた。
優結は今、中学2年生までの記憶しかない、
でも、俺は、優結と一緒にいたいから、毎日優結のもとに通って、ずっと話をしていた、相変わらず優結はおしゃべりで話が全く尽きなかったでも1週間たったけど優結の記憶は戻らない。
これから俺たちはどうなるのだろう、そんなことを毎日考えている。
明日、優結が退院する。
それからは学校だ。
優結は大丈夫なのだろうか・・・
そして昨日両親から言われたことを思い出した。


昨日の夜、
自転車を止めて家に入ると、リビングの椅子に父さんと母さんが座っていた深刻そうな顔をしている。
なんか嫌な予感がする。

『遥斗、ちょっと椅子に座って。聞いてほしいことがあるの。』

母さんに言われるまま椅子に座ると父さんが口を開いた。

『7月から出張で、アメリカに行くことになった。』

『…え?』

『お前はあと少しで高校を卒業するから置いていくことも出来るが、5年間帰って来れない。もしかすると退職するまでアメリカにいることになるかもしれない。だからお前も一緒に来い。』

優結があんなことになっているのに、行けるわけない。父さんも母さんも知っているはずだ。
俺は優結と本気だったから、父さんと母さんに優結を紹介していた、そして優結が今記憶喪失になっていることも話している。

『優結ちゃんが今、大変なのは分かっているわ、でもあなたを置いて、5年間もアメリカなんて行けない。あなたが心配だから…』

『でも、優結はまだ記憶が戻ってなくて、来週から学校で、めっちゃ不安がっているのに、俺がそばにいてあげなくてどうするんだよ!』

『でも、優結ちゃんには、梨花ちゃんや、綾美ちゃん達がいるでしょう?だから大丈夫よ。』

バンッ

『なんだよそれ!優結には、俺が必要ないって言いたいのかよ!急にアメリカに出張とか優結は大丈夫だとか、勝手なことばっか言うなよ!』

すごく頭に血が上って親に向かって叫んでしまった・・・
2人ともすごく驚いているようだった。
俺はすぐに、自分の部屋へ行ったからその後、二人が何を話していたか知らない。
俺は本当にアメリカに行かなくてはならないのか?
俺がアメリカに行ったら優結はどうなるのか?
俺は優結のそばにずっといたいよ・・・
早く明日になってほしい、優結に会いたくてたまらない。
優結の記憶はいつ戻るのか・・・
早く記憶が戻ってほしい。そしたらハグをして、キスをしよう。
クリスマスの時にできなかったから、デートもしよう。
2人で。2人でいれば、どうなことも怖くない。
優結といると俺は、強くなれる。弱くなれる。
優結の前では、すべてをさらけだせる。
それはすべて、優結だから、優結とふたりでだから出来ることなんだ。
俺はずっと優結のそばにいる。絶対に。
だから優結も早く、俺のところへ戻ってこい。

あぁ、思い出すだけでもう優結に会いたくなってきた。
はやく明日になんねえかな。