(ガチャ)
Sクラスに入ってきた男を見る。
そこには、汗だくのテテがいた。
あなたはまたあの言葉を思い出す。
" 俺、お前のこと性欲処理器としか見たことねぇんだけど "
思い出しただけで胸が痛む。
─もうあんな思いはしたくない─
(あ、ダメだ…嫌な言葉ばかり出てくる…)
(私の口、止まって…お願い…お願い……。)
その言葉に、テテの表情が悲しく歪む。
(あ…ダメだ…)
気がついた時にはもう遅かった。
テテはサッと部屋を出ていった。
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テテは外で泣いていた。
自分が酷いことを言ったのは分かっていた。
でも、愛する人からその言葉を言われると、泣かずにはいられなかった。
なんであんなことを言ってしまったのか、今では後悔しかない。
一旦帰って、落ち着いてから来ようか __
そんなことを考える。
その時、ジミンの顔が頭に浮かんだ。
─今ここで逃げたら、次こそジミンに奪われる─
そんなのは許せなかった。
涙を拭いて、テテはもう一度部屋へ足を運んだ。
────────────────────────
(ガチャ)
中に入ると、あなたが部屋の片隅で泣いていた。
壁の方に顔を向け、何かを抱き締めて泣いている。
何かと覗き込む。それは_
テテから貰った服だった。
もう一度奴隷区へ戻されたあなたは、ほかの服を着せられていた。
だから、もともと着ていたテテからの服をぎゅっと抱き締めていたのだ。
テテは思わず、泣きじゃくるあなたを後ろからそっと抱き締めた。
そう言うと、新しい服をあなたに渡した。
その服を受け取ったあなたは頷いた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。