あなたは、ジミンの質問にも答えず、慌てて目の前の大画面に目を向ける。
ジミンが申し訳なさそうに俯く。
あなたが頭を打って倒れた日の映像を見ようと、パソコンをいじろうとするが…
機械音痴なあなたがオドオドしているとジミンが横に来ていた。
あなたが指示すると、カチカチと手馴れた動作でパソコンを操作する。
ジミンが見せたその映像は、まさしく犯される寸前のあなたとテテの姿だった。
画面を真剣に見つめる。
テテが強引にベッドに投げつけ、その瞬間にあなたが頭を打った。
頭を打ち、意識を失ったあと_
テテは正気に戻ったのか、慌てて部屋から出て行った。
(やっぱり、テテはこういう人だよね…)
そう思っていると、
画面に映るのは、氷や包帯などを持ち、慌てて帰ってきたテテの姿。
あなたの頭を冷やしたり、応急処置をしている。
その後、医者に見てもらい、一通りの処置が終わった。
その後の映像は、ずっとあなたの手を握るテテの姿。
そう言って、あなたのおでこにキスをする。
全てテテだった。
優しい声も、優しい手も。
テテの優しさにやっと気がついた。
慌てて走り出そうとすると、ジミンがあなたの手首を掴んだ。
そう言われ、ジミンの本気を感じ取り、あなたもまっすぐ向き直る。
──もう迷わない──
その言葉を聞くと、ジミンは握っていた手を離した。
そう言い残し、あなたはテテの所へと向かった。
ジミンに背中を押されてやっと気がついた。
──テテが好きなんだ──
(ありがとう…じみな…)
テテの部屋の前についたあなたは、ひと呼吸おいた。
(よし、言うぞ ッ…)
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。