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第1話

運命と赤い糸
51
2017/12/03 15:26
【永倉真結、高校2年、職業   探偵】

そんな事を言う日が来るなんて、その時は思ってもいなかった。


学校終わりの放課後。
下校中のイケメン探しが趣味の普通(?)の女子高生。

特に変わったことはない。

そんな私に起こったある出来事──

(今日は早く帰れたな…)

そんな事を考えながら信号待ちをしていた。

(あの人いいな…)

私の目はイケメンしか見てない。

信号が青に変わると同時に歩き出し、赤になると同時に渡りきる。

駅まであと2分。
そんな時、それは起こった。

誰かとぶつかったような気がした。
…イケメンだ…

(なんかラッキー…)

「君!ごめんね…大丈夫?」

甘いマスクが私の心を射ぬく。
(うわぁタイプじゃん…)

「あっはい…大丈夫です。」

「お詫びにケーキでもどう?」

「食べたいです!」

───んな事でイケメンにケーキを奢ってもらっているのですが…

「さっきはごめんね…?」

「あっ全然大丈夫です。そんな事よりお茶ありがとうございます…」

「いいのだよ。このくらい。」

そう言った後、イケメンは机を叩いた。

「俺の名は片倉遼河。」

片倉さんは私に近づき、

「探偵だ。」

「えっ、」

(探偵ってこんな簡単に正体ばらすんですか?)

「今、俺の会社人手が足りないんだよ…」

「はぁ、」

「って訳でちょっとバイトでいいから働いてくれない?」

(あ、これ、私は絶対ココの社員になるな。)

だって、こんなにあっさり言うってことはこのあと私に対する何か取っておきのメリットがあるってことだ。
断れない理由ができる気がする。

「───探偵にならないか?」

「私じゃないとダメですか?」

「君の友達だよね?あの事件。」

あの事件───
私の親友が誘拐された話だ。

アレから半月経つけど、手掛かりすら何もない。

「なんで…それを…」

「だから俺は君を助けるためにわざとぶつかった。」



この人、私の思ってるよりよっぽど上だ。

「俺の会社に入れば君の友達を助けられるかもしれないし、犯人だって逮捕できる。」

凄いな…イケメン…友達を救える…

「時給高いよ。」

給料高い!

……断る理由がないっ!

「やります。」

「私、探偵になります。」

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