あれから日々はあっという間に過ぎ、今日はもう卒業式だ。
そうなのだ。私が伴奏、和也が指揮。
見事2人そろってオーディション合格。
時計を見ると、もう在校生入場の時間だった。
________________卒業式スタート。
先輩方が卒業証書を受け取り、いよいよ在校生合唱。
ちなみに先輩方には誰が指揮なのか、伴奏なのかは当日、このタイミングでわかる。(後輩達がバラしてたら話は別だよ)
和也がお辞儀をするのに合わせて礼をする。
ふわっと和也が手を挙げた。
そして私を見る。
私はスッとピアノに手を置き、小さくうなずいた。
和也が手を振る。それに合わせて前奏を弾き始める。
ピアノの調べに合わせてみんなが歌い出す。
________________そして…
在校生合唱が終わり、会場は拍手に包まれた。
次は、卒業生合唱だ。
もちろん私達もどの先輩が指揮、伴奏なのかはわからない。
私は呼ばれた二人の組み合わせに驚いた。
指揮台に登った星矢先輩、ピアノの前に立った星羅先輩はとても堂々として見えた。
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パチパチパチパチ👏
たくさんの拍手に見送られ、先輩方が退場する。
ついに、先輩方は卒業してしまったのだ。
その現実が私に重くのしかかってきた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!