前の話
一覧へ
忘れることは無い、一昨年の12月24日。
あの日、時間になっても君は来なかった。
日付が変わるまでずっと待っていたけど、君は来なかった。その後親に散々怒られたはずだけど、それすらよく覚えてない。どうして… それだけが頭の中を埋め尽くしていた。
まぶたを開く。またこの夢か…。
そう、君は来なかった。一昨年も、去年も。何度も『どうして?』と考えた。嫌われた事をしただろうか…と、不安になった。
でも、その年…いや、次の年か。の2月に僕は理由を知ってしまった。
『〇〇財閥のご令嬢が名門校に転校しました。なお、お住まいは変わらないそうです。』と、ニュースが流れた。ふと目をやると、写真が出ていた。
え…?
僕は言葉を失った。だって、それは毎年会っていた彼女だったから。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。