第2話

当日(朝)
33
2017/12/06 13:16
 ざわざわと、人が虫のように出す騒音が、いつもより頭に響く。普段はこんなにうるさくないけど、今日は特別なのだ。


 
 だって、今日は皆がずっと楽しみにしていたクリスマスパーティーだから。



 まぁ、クリスマスパーティーといっても、文化祭のようなものなんだけど。



 去年も同じようにクリスマスパーティーがあって、友達と一緒に十分楽しんだけど、今年は少し違う。



 なぜなら、去年誘うことができなかった彼氏と一緒に、一日中楽しむことができるからだ!


 
 皆が楽しみにしていた以上に、私は今日という日を楽しみにしていて、同時に緊張もしている。



 パーティーで普通全然緊張なんかしないけど、今回は優良と恋人らしくできるかもしれないチャンスだから、この日のために



 どこのお店を回ろうかとか、どうやったら相手をドキドキさせることができるのかとか、色々考えて計画してきた。



 もちろんパーティーは全力で楽しむけど、本来の目的である「恋人らしくする」という任務も達成しなければならない。元々、



 それが目的で誘おうと考えていたのだから。


 
 ――やっと優良と友達以上になれる――


 そんな思いを抱いて、この一か月間を過ごしてきた。


 
 そしていま、一カ月も前から準備してきたクリスマスパーティーが始まった。


 待ちに待ったクリスマスパーティー。早速優良といろんなお店を回りたいところだけど、その前に自分のクラスのお店を管理しない


 いけない。パーティーだからって、遊んでばかりはいられないのだ。


 
 お店があるからこそ楽しめるんだし、そのお店は生徒自身が回さなきゃいけないしね。


 さすがに、自分だけがサボってクラスの皆に迷惑はかけたくない。



 ちなみに、私のクラスのお店は「手作りクリスマス」というお店で、名前の通り皆で小さなクリスマスにちなんだ可愛い小物を作り


 安い値段で売ったり、お客さん自身が小物を作ったりできるお店。小物の準備が大変だった分、いいものができたと思う。



 今は午前十時。まだ始まったばかりだ。店番は朝組と昼組との交代制で、昼組との交代は13時だから、朝組の私はそれまで



 頑張って自分の仕事をしなくちゃいけない。



 優良も朝組だけど、お店に結構人が来てるから、喋る余裕はなさそう…。



 (早く一緒にあそびたいなぁ…)


 
モブ
すみませーん!これ一つください~
半田友香
あ、はーい!では、これ二つで250円ですね!
 あ、いけないいけない。今はお店を回すことに集中しないと。優良と遊ぶのは後だ。




 …でも、恋というものはどうやら厄介なもので、考えないようにすればするほど、相手のことを考えてしまうものなんだ。

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