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第1話

【詩】なんでも屋さん
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2017/12/05 14:45
なんでも屋さん なんでも屋さん
君は不思議な  なんでも屋さん

誰かがなにもできずに困っていたら  放ってなどおけずに
「どうした??」と   かならず声をかけてあげるね
なんでも屋さん   なんでも屋さん

誰にでも優しい君は  ……世話焼き屋さん





なんでも屋さん なんでも屋さん
君は不思議な  なんでも屋さん

誰かがすべてを投げ出して怠けても 君は続けることはやめないね
どれほどの人がその手を止めようと 一人でも君は続けるね
なんでも屋さん  なんでも屋さん

決して諦めない君は  ……頑張り屋さん





なんでも屋さん  なんでも屋さん
君は不思議な   なんでも屋さん

初雪の舞う寒い夜  はじめて二人で流星群を見に行ったね
マフラー巻いて 耳あてをして  君は望遠鏡をセットしながら
私よりずっと  寒そうに白い息で冷えた手を温めて震えていたね
なんでも屋さん  なんでも屋さん

子兎のように肩を震わせる君は  ……寒がり屋さん



なんでも屋さん  なんでも屋さん
君は不思議な   なんでも屋さん

小雨やまない梅雨のこと  はじめて二人は喧嘩をしたね
同じだったはずの想いが近づきすぎて  それはすれ違ってしまったね
もどかしい心が雨に濡れる   切ない気持ちは涙に濡れる
なんでも屋さん  なんでも屋さん

「行かないで…?」泣きそうな君は  …寂しがり屋さん



なんでも屋さん  なんでも屋さん
君は不思議な   なんでも屋さん

可愛い人ねと笑ってみたら  なぜだか君は怒ったね
怒ったはずなのに  少し前を手を引いて歩いてくれたね
二人の間を風が吹き抜けて 黒髪の隙間から小さな耳
なんでも屋さん  なんでも屋さん

真っ赤に耳染める君は    ……照れ屋さん





なんでも屋さん  なんでも屋さん
君は不思議な   なんでも屋さん


いっぱい いっぱいの表情(かお)をする  

不思議な不思議な  なんでも屋さん





























君が笑ったら  世界が明るくなって
君が泣いたら  世界が沈んだように暗くなって
君が怒ったら  照れたら  

僕の世界は  どんな表情をするのかな…





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