グラウンドの青い空に高く響いたあの乾いた音を
きっと僕はまだ忘れることはないだろう
次に勝つための悔しさとして…
また勝つための嬉しさとして…
この耳はまだ 覚えているのだろう
深く澄んだ空に白く丸い雲が重なったこの瞳が映した瞬間
頬を伝った汗に 溢れだす感情に 身震いしたのを確かに覚えている
あの感覚はもう戻りはしないけど 今もどこかでそっと息づいている
同じ誰かと過ごしても
同じ遊びを繰り返しても
たとえ、同じ想いを抱いた夜でも
あの日に戻ることも、同じ日が巡ることももうない
空ぶったバットを 何度だって振ってやろう
同じ失敗でもいいさ 重ねた数は消えたりはしないんだから
ラストステージ どんな終わりでも最後の夏
帽子を深くかぶり直して さぁ行こう
あの景色をカメラに収めても
あの音をレコーダに残せても
身体の内側をめまぐるしく走ったあの感情とか
嬉しさに震えたあの感覚は
もう二度と”あの日”に帰してはくれないから…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!