第19話

【詩】この散歩道に花は咲く
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2017/12/15 14:11
「こんな人生もういやだ」なんて  どうか嘆かないでよ

この散歩道、ゆっくり歩いたらいいんだよ。


走って目的地まで向かってちゃもったいない

疲れた夜が来たなら、休んだらいいんだよ

あたたかい人の笑顔が瞬く腕の中で、そっと目を閉じて…

元気が出る朝が来たなら、また歩き出せばいいんだよ

その後ろからゆかいな仲間たちがきっとついてくるからね

だけど、その先に大きな岩が立ちはだかったなら、足元をごらんよ

その岩陰には、もう少しで咲きそうな新種の蕾が隠れてるはずだよ


わき道だって好きなだけあるよ 

そこが道じゃなくたって、君が歩けば道なんだから

迷ったら一度引き返せばいい  

通ってきた道は消えたりなんかしないから

偶然、誰かの散歩道と重なってたらそれもいいね  

ハイタッチしていこう



途中、悲しみの雨に見舞われることもあるでしょう


濡れた頬の寒さに凍えて…  

身を打つ冷たさに感情(こころ)がかじかむことも……

でも、そんなときは好きなだけ木陰で身を寄せていてよ

そしたら、絶対また晴れるから  

雨上がりは晴天より眩しく煌めく水晶の世界



出会いという種に、優しさの水をあげましょう。

幸せの花が咲けば、また種が生まれ、広がってゆくでしょう。

挫折という岩に立ちふさがれたら、岩陰の新種の蕾に水をやろう。

悲しみの雨に見舞われたら、大好きな人の腕の中に身を寄せよう。

そうやって、のんきに歩こう。


まだまだこの先は、未知ばっかりなのだから。

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