第20話

【詩】夕凪
14
2017/12/15 14:12
会社終わりの夕暮れの  小道
今日も疲れたなって  ため息だっていつもと同じようで

丘の向こう沈みゆく夕陽を背に  
並んで帰るか小さな冒険者たち

灯りがひとつ、ふたつ灯りはじめて  小さな商店街
買い物袋下げて 重そうにぶらりぶらぶら立ち寄って
お母さんおばちゃん そろいだしたら 初対面だって大歓迎!だって?
…ほら、通れなくなっちゃうんだ

困るなぁ 困るなぁ  僕も家に帰りたいんだけどなぁ
困るなぁ 弱るなぁ  そんな楽しそうに話されてちゃあ
「ちょっと通してよ」なんて言えそうにないなぁ
仕方ないから  遠回りして静かにじゃあ先にお邪魔しますね
ああ   予定通りには行かない日々
情けなくって、なんだか   …笑えちゃうなぁ





裏通りを抜けたら   花屋を通り過ぎた
店じまいにあわただしい人   家路へ急ぐスーツの交差の隙間
お店の奥  売れ残りの小さなコスモス  ひとつ寂しそうだね

贈る相手はいない  誕生日だっていない 
花を愛でるほど 優美な人間でもないけど

なんとなく  そうさ、なんとなくだから
ちょうど お札崩さなきゃと思ってたんだ


両替だって方法? それもあったかな 
でもこれでなんかよかったんだ  風が心地いいからね
理由なんていらないんだ  それが僕らのスタイル

























悲しいことがあったって、
優しく慰めたり、涙を拭ってくれるような町じゃないけどさ
どんなときだって笑ってるみんなの笑顔だけで
「もう少し頑張れるかな…」って思えたりもするんだよね…

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