第37話

【詩】ちっちゃな恋
4
2017/12/26 13:30
ちっちゃな恋が  してみたい

隣を歩いていられる時間がただ  
ほんとうに幸せなのだと思いあえる人と



ちっちゃな恋が  してみたい

情熱的なキスも  熱くなるような愛の言葉もいらないから
黙ったままで心を通わせるような想いをもって



―――――…ちっちゃな恋が  してみたい。






伝え合うのではなく、
利用し合うのでもなく、
利害を求め合うのでもなく、
欲望のままでなく

弾けそうなきもちをどうしようかと毎晩頭を抱えて
君ばかりを思い出してしまうような…

笑っている顔がただ見ていたいと  
それ以外は考えることなんてないような…

二人並んで過ごせる、春も 夏も 秋も 冬も



穏やかに過ぎる  季節のなかで  
思い出に上書きされていくひとときひとときをふと思い返せば

しあわせに  涙腺が緩みきって     
涙が出てしまうような…  つまらないくらい、ちっちゃな恋  




現実を見なよと   いくら突きつけられたって
捨てられない  ちっちゃな恋を夢見てたいな…


現実なんてそんなロマンチックなわけ無いと
笑われるかもしれないけれど

信じていたい恋の果実を手に  今もまだ  
ひとりひとり去っていくりんごの木の下

今日も一人       …待ちぼうけ  

 

雨の日も。
「きっとこんな日に傘を持ってきてくれる人ができますように…」

悲しい時も。     
「いつか黙ってそばにいてくれる人ができますように…」

嬉しい時も。     
「誰より聞いてほしいお話を誰より近くで見ていたい笑顔に
お話できますように…」

不安な夜も。     
「震えてしまうこの手をぎゅっとただ大丈夫って
包んでいてくれますように…」



いつかはきっと   
心から支えあえる大切な人に出会えるかなって夢を見て…

今もちょっとだけ



…期待してたりするんです…        ちっちゃな恋

























物語上のいくつもの恋は  
すべてがフィクションだというのなら  ちょっぴり寂しいな…
 








プリ小説オーディオドラマ