君の手を離すのは …不安になる。
ときどき、怖くなるんだよ…
一度離してしまったら最期、
もう二度とその手が見つからなくなる気がして…
二度、
次にその手を握るときは冷えきっていそうでさ…
ねぇ…?
僕がもし、君とほんのすこし離れたら?
君がほんのすこし独りを過ごす時間があったらさ
君はなに思ってるの?
黒いその瞳の奥に 何を映してますか?
少し潤んだその膜は もしかして 涙 ですか?
それとも それとも、、
君を一瞬でも忘れてしまうことは怖いな…
次に振り返ったとき、君はきっと一人笑って
どこかに消えてしまっていそうでさ
「ばいばい…」
って 笑って…
そんで
泣いていそうでさ…
君って 泣くのは上手くできないのにさ
笑うのはすごく上手なんだよね…
「ねぇ、辛いことがあったらちゃんと言ってよ?」
また一人で背負いこもうとするのだろう。
それを心のどこかで気づいていたのかもしれない。
「平気だよ、大丈夫だからさ ね?」
だけど君はいつも心配する私の頭をくしゃくしゃと何度か撫でてふざけて誤魔化してしまうんだ。
そして、曖昧なままで。誤魔化したままで。
……今日も、何も話してくれなかったよ…。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。