大切って むつかしい。
傷つけたくないから 遠ざけてきたのに
気づいたらぼくの方から会いに行っちゃうんだ
きみもきみで いっぱいに手を広げてさ、「おいでよ…?」って
優しく笑うんだから 甘えんぼうのぼくには嬉しくってさ
傷つけちゃうって知っていたって きみの腕の中で
今は確かにここに在る愛しさと、この先で失くなる寂しさを
―――…泣いているんだ
こんなにあったかいのにね… こんなにしあわせなのにね…
好きって むつかしい。
小さいころ 嬉しいときはこみ上げる思いをそのままにさ
加減もなく 「くまさん だーいすき!!」って抱きしめたっけなぁ…
だけど 今のぼくが好きなのはくまさんじゃない
加減もなく 思いのたけをぶつけてしまったら優しいきみなら
受け止めようとして きっと潰されてしまうだろう
どうやったら
優しいきみに見合うように優しく届けてあげられるかなぁ…?
どうやったら
その優しい笑顔にそっと触れることができるのかな…?
伝えるって むつかしい。
思ってるように伝わらなくて 思われていることは気づけなくて
放った言葉は力なくちっぽけな風に揺らいで
曲がって、落ちて、何度も何度も風に乗せて
やっとたどり着いたのだってきみの心の隅っこの隅っこで。
ストライクなんて取れそうにないけど
ギリギリでも頑張るから、もうちょっとだけ
…この想いを、よろしくお願いします
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!