「大人なんて…」 「大人になったら…」
僕が抱いてたのはどっちだ? なりたいのかなりたくないのか
……嫌がったって避けることはできなかったけど
好きなものが買えるんだ 誰にも文句は言わせない
今まではおこづかいでも胸の中がちょっくら傷んで
「下手な使い方できないや 親が稼いでくれた大切な時間の代償だもの」
まあ、子どもながらにそこまで考えてなんてないけど
……やっぱり、どこかでは感じてたから
でも、今はもう違う
税金とか、支払とか義務までついてきちゃって「もう!」って言いたくもなるけどさ
……やっぱり、頑張った分が目に見えるのは嬉しいもんだね
どのくらい貯めていけるかな?
そんでいつかは素敵な家を買って、
その家にどんな愛おしい人と住むのかな…
玄関には3つの靴が並んでさ
きっと、キズを刻んだ柱が目立つようなあたたかいボロ家になるかもね
これはもうお金じゃないんだ
これからももっと積み立てていく
僕の夢貯金
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。