第112話

【詩】さよなら朧月
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2018/12/01 12:34
交わるはずのない二人が逢えたのは幻でしょうか

どこから違(たが)えたのか 

もう理由を問うこともできないけれど


隣り在った日々を結晶にして  この夜を見上げよう




さよなら朧月

貴女のくれた月の欠片をこの胸に秘めたまままた歩き出そう

欠けた部分は戻らないけれど


さよなら朧月

またひとりには戻るけれど どうにかやっていくから

貴女はずっとその美しい夜に浮かんでいてください



もしも淡い光の粒がその頬を流れ落ちたなら
この両の掌で救って空に返すよ

「いらぬ世話よ」と貴方は嗤うでしょう

笑ってくれたなら、いいでしょう



もう二度と交わらぬ







さよなら 優しき朧月よ

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