第100話

【詩】セピア色の夢
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2018/02/08 12:08
アルバムの中の僕らは  ずいぶん色あせたのに…

思い出の中の僕らは   こんなにも鮮明なんだよ

瞳を閉じたら  すぐに思いだせる

君と僕が呼び合う声    ……ほら、そこに

君と僕が笑いあったこと  ……ほら、そこに



懐かしさがノックする声  振り返る  …幼き僕らに呼ばれてさ




セピア色の夢の中へ    さぁ誘いざなえ

どうぞ、この手を  引いて  連れて行ってくれ…。


触れるたび  消えてしまいそう…

もろくなった…?  すぐに割れてしまいそうだ

あたたかな灯ともしびは。

そっと…  しまっておこう  すぐに取り出せるすぐそばに。

きっと…  また呼ぶために。


セピア色の出口に向かう夢のなかで   また拾い集めてる

いつの間にか両手いっぱいから  落としてしまってた

大事な欠片を   ひとつ… ふたつ…  数えながら。




あの日が  記憶になって遠ざかっていくように

今日もまた  遠くなって…

明日もきっと  いずれ遠くなるんだろう…

それでもまた  思いだすでしょう

あの夢の中で。  あの鮮やかさの少し薄れた色の中に。 



――…徐に瞳を開けると  濡れた頬の一滴
あの頃と同じように  きらり…  朝日に一度煌めいた。

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