今日も街中で流れる 雑踏を止めるほどの歌
どうしてこんなに鼓膜を震わせるのかな
胸の中から熱い何かがこみあげるような強い衝撃とか
言葉も追いつかない感情が溢れそうなこと
下手な歌なんて聞くに堪えないんでしょう
下手な歌なんてただの恥さらしでしょう
そんなのわかってるよ
でも、とめられない。
どんな夜だって声を押し殺して歌うよ
きっと、一日だって「歌うな」って言われたら僕は息が止まってしまうの
たった、一日歌を聴けない日があったなら、とてつもなく辛いかも
あんなに綺麗なことを とても悲しそうなその目を 張り裂けそうなほどの嬉しさも
連なった音と重ねた声で 波紋のように伝えられたら
それができない……僕には。
優しい世界を見せてくれた貴方のように
楽しいことを教えてくれたあの人のように
思うように歌えたら、なんて幸せなんだろうな
もし七色の歌声があったなら
もしも泣きそうなほど綺麗な歌が歌えたなら
もう僕は何も望まないと胸を張れる
ただ、それほどに
僕は歌が好き
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。