無条件に愛されるなんて思っちゃいない
優しくて完璧な人でいなくちゃ
あなたにとって利のある存在に
無条件に生きていていいなんて思っちゃいない
どうかわずかな役をください
「少しくらいは役に立つね」というおこぼれを
あなたの言葉を貰ってようやく息ができるから
当たり前に望んでいいことなどあるはずない
当たり前に貰えるものなどあっていいわけが無い
だからどうか、
ここにいてもいい理由をください
「人の役に立つ」だとか
「優しい人」だとか
何かを返せるぼくでいなきゃ みんなきっとどこかへ行ってしまうから
「あいつはなんでもやってくれるよ」
「あいつは黙っておけば簡単に騙せるさ」
……仕方ないよ そんな理由も耳を塞いで呑み込んでしまえ
「自分を愛せない者に人は愛せない」と
誰かがいう
それは証明だ。
そしてぼくにはこう続く
「人に愛されないような自分を愛せないぼくは
きっと、この先も愛に触れることはないでしょう」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。