第2話

【詩】選択
119
2017/12/05 14:59
自ら命を絶とうとするする者を

きっと周りの誰もが止めようとするだろう

「考え直せ」 「死ぬのはいつでもできるだろう?」 「後悔するぞ」

でもきっとそれは   
その人の抱えるものを知らないから言えることで

考え直せ?   考え直してもこの答えしか辿りつかないんだよ…
死ぬのはいつでもできる? その”いつ”が今なんだよ…
後悔する…なんてこと   自分が一番よくわかってるさ


取り返しがつかないこともわかってる
だからこそ、一度きりのその選択を  実行してしまう前の選択を
その人以外が   決めてはいけない
命の価値観も  その人にしかきっとわからないものがある
その命を絶つことをたとえ止めたとして   

「死ななくてよかった」と   
満足するのはきっと助けたフリだけの僕らのほう

「死ねなかったなぁ…」と   
また重たい朝に呼吸をつづける日々を憂うのはきっとその人で。

僕らができるのは
その誰かが  生きていたいと願える居場所をつくること。

僕らができるのは
その誰かが  いてもいいのだと思える心の在る場所をつくること。

僕らがしてあげられるのは
その誰かの  心を変えることではなく、変わってくれるようにと
願い、思い、祈り、手を差し伸べること。

それでも   その人から「生きたい」という答えが出ないのなら  もう僕らは   なにもしちゃいけない

僕らはたった一人のその人に「生きたい」という望みすら   
与えられなかったことを

悔やみながら  哀しみながら   苦しみながら。

………見送って、そして。



―――…ずっとその苦しみを背負っていかなくてはいけないのだろう。


















「悲しいことだけどね…」
なんて割り切れるものでもないけど。

 だからこそ、僕らはそんな”悲しいこと”が起こらないような未来を
願いたいと思うのだろう。








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