第25話

【詩】何を守るのですか
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2017/12/15 14:04
どこかで見かけた

「話の通じないやつには”力”を行使するしかない」と

「護るためにはやむを得ないことなんだ」と


守るためだからね…?


そう、それは”仕方ない”ことなんだって

”守るため” そう ”仕方ないからね”

そうやって傷つくことに慣れてしまうと、きっともっと傷つけたい狂気に駆られて

奪いたい衝動に呑まれて  欲深い僕らは恐ろしい怪物になるんだ




あなたは今まできつい訓練にも耐え忍んできた人々に今度は

「お国のために戦え」と、また言うのですか?

仲間も敵も わからない  ただひたすらに、動くものに銃口を向けろ 

溢れかえっている血は誰のもの?

目の前で涙声で助けを乞う同じ人間に手を差し伸べてはいけないという

互いに愛おしい存在を持つ同じ親であるというのに 互いに奪い合えという

大切な誰かが笑って死に向かうのを誇りを持って見送れという


その辺に転がった石ころのように転がる人々を

もう人ではなくただの肉塊にしか映らなくなる光景を

あなたは再び呼び起こすつもりですか?



いまだかつてこんな悪夢が繰り広げられている世界で

不安もなく眠りについても、朝が来ればまた当たり前に目覚めることができるものだと

疑わせない”平和”を教えてくれたのはこの国です

”また明日ね”と 笑って手を振れるのは

まだ互いの未来が続いていくものだと信じられる日常だからです

他の国々もやっと変わってきてくれそうなのです

大切にしてきたものを 同じように繋いでいこうとする人たちがやっと現れてくれて来たのです

それなのに、今度は私たちが自らそれらを踏みにじるのですか

それは同じように平和を願いたいと思う人々への裏切りではないですか



過去に犯した我らの過ちがこれだけの年月を経ても今もなお

傷つけられた人たちは私たちを許してはくれないように

ここでまた銃を手に取れば

傷つけれられた人たちは

またいつか私たちと同じ瞳をして言うのでしょう

「お前らのせいで全部失ったんだ…っ!
今度は、僕らがすべてを奪ってやる…!!」


敵意は敵意しか呼びません  憎しみは憎しみしか生みません

誰かが笑ってくれたら、つられて笑ってしまうように  

笑顔で笑顔をつなげてはいけませんか?




そんなに欲しいというのなら島の一つや二つくれてやってはだめですか

もう取り戻せない尊い命がまた散っていくよりは、

安いものではありませんか



あなたの守りたいものは 土地ですか? 人ですか?






あなたは        何を守るのですか?






















たとえ良い方向に変わろうとしているのだとしても
今のままでだっていいから  

もぅ何も変わってしまいたくはないなあ……

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