第39話

【詩】記憶
5
2017/12/23 14:42
……思い、出せない。

ふと   目を覚ますと何も覚えていなかった。



昨日は何をしただろうか?

昨日は誰と話しただろうか?

昨日は誰かと逢っただろうか。

脱ぎ捨てたような   私服が放られていた。

誰かと指切りを交わしたような  感触が残っていた。

友人と通話した履歴を携帯が   覚えていた。

示されている現状が   昨日までの結果(きおく)。

表示された記録(データ)が  昨日までの結果(きおく)。

そうなのだと   それだけだと受け入れてしまえたらいいのに

無反応な感情が   騙されてるんじゃない?というようで。

黙り込んだままの感情が  こんなの知らないよと目をそらすようで。


不確かすぎて   怯えてしまう。


曖昧なものを嫌う僕らなのに

曖昧な、それでも、確かにあったものを失くすことが    何よりも怖い…




………怖いんだ。






































曖昧なものを嫌いながらも僕らは結局

自ら不確かなものを信じてしまいたくなるらしい


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