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第5話

第3話 それでも日常は訪れる
 自分に暗示をかけているうちに、音ノ木坂学院の制服を身にまとっていた。
 やっぱり身体が他人だと気が狂うわね。
 鏡から目を逸らし時計の針を見ると6時50分を指している。

 あの学院までどれだけあるか分からないから、慌てる時間なのか余裕が持てる時間なのか全く分からないわ。
 仕方がないから、朝ご飯を食べることにしましょ。
 部屋の扉をそっと開け、階段を恐る恐る降り、音を殺してリビングルームの扉を開ける。

 ふわっと漂う香り。
 その香りにつられて顔を覗かせれば、ウチのよりも美味しそうな朝ご飯。
 マリーもこんなの食べてるの……?
 くっ……貧富の差が……。
真姫母
おはよう。そういえば、今日はいつもより遅いけど、部活は大丈夫なの?
真姫
えっ? あ……


 そうよ。
 なんで今までなんとも思わなかったのよ。
 彼女はスクールアイドルのμ'sよ。
 朝練がないワケないじゃない!!

 しかも、いつもより遅いって……。
真姫
い、急がなきゃ!


 そんな会話を他人としていたところに。
 ピンポーン。
真姫母
あ、はーい


 家のインターホンらしき音が鳴り西木野真姫の母親はそれに応じる。
真姫母
真姫ちゃん、お友達が来てるわよ


 そう言うとなんなり、私に受話器を渡してきて手に取ると、誰かの声が聴こえてきた。
───
真姫ちゃんまーだー?
真姫
え、あ、ちょっと待ってて!


 誰だか分からないけどそう答えておくことにして。
 朝ご飯は飲み込めないくらいに押し込んで。
 鞄を持てば場所が分からなくて戸惑いながらも玄関まで早歩き。
 まだ綺麗な革靴を履けば、ノブに手をかけ。
真姫
行ってきます
真姫母
あ、ちょっと待って


 ドアを開けよう。
 そこまでの動作を行おうとすれば、この親は私に近づいてきて。
真姫母
ママは真姫ちゃんの味方だからね


 そう言って私を見送った。
真姫
……? はい


 前文から読み取れない会話でちょっと戸惑うけど、彼女にも昨日があったワケだし、いっか。
 重たいドアを開けたら驚いたわね。
 全く知らない世界がそこに広がっていたのよ。
 当然のことなんだけど、なんだか新鮮な気分ね。
───
もー! 真姫ちゃん遅ーい!
───
……おはよう、真姫ちゃん


 門口にはどっかで見たことあるような。
 というかμ'sの星空凛と小泉花陽じゃない!
 彼女達からしたら何の変哲もない日常かもしれないけど、これはっ!
真姫
おぉおおおはよう!!?

 つい声がひっくり返ってしまった。

んー? 挨拶にしては随分慌ててるにゃ。さては何か隠し事があるのかにゃ~?
真姫
か、隠し事なんかしてないよ!?
ホントかな~?
真姫
ホントだってば!!
んー? 怪しいにゃ~
真姫
も、もう! 早く行くわよ!
はいはい


 よかった。
 怪しまれてないみたいね。
 どうかどうか、このヨハネに守護を……。

 堕天使が女神に崇めるカオスな状況。
 でも、本当に、純粋な気持ちで、この身を捧げたいくらい、何も起きてほしくないわ。
花陽
──真姫ちゃん!
真姫
ひゃっ! な、なに?


 そこはフラグ回収しなくてもいいところよっ!!
花陽
大丈夫……?
真姫
だ、大丈夫よっ!


 普通、こんなに近くで液晶上だった人に心配されることは夢のような(実際にされてるんだけど)ことかもしれない。
 だけど今の私は初めての小泉花陽よりも、バレたらどうしよう、私はこれからどうなるのだろう。
 そんな感じの思考が過ぎては折り返してまた過ぎるの繰り返しだった。
花陽
本当に……?


 ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ。
真姫
ホントだってば……
花陽
そっか……なら、いいんだけど……


 小泉花陽は眉をひそめて。
おーい早く~!
花陽
あ、待って凛ちゃん! 真姫ちゃんも早く行こ?


 普通の顔に戻って先に行ってしまったわ。

 絶対怪しまれてるって……。

 っていうか、自分の名前で呼ばれないって結構切ないわね……。
 見知らぬ路地、家、人、空気。
 唯一一緒なのはあの空だけ。
 他のところを見るのもシャクなので、あの空をぼんやり眺めていた。
 そんな空も自分を攻め立てているように見えた。
 私を知る人は誰もいない、ってことか。
 本当の意味で孤独よねぇ。
 そう言えば今私が西木野真姫の身体の中に入ってるってことは、本物の西木野真姫はどこにいるのかしら?














作者です。
このように亀投稿で、2~3話をまとめて出していきます。

場違いの堅苦しい文章ですが、ゆっくり読んでくれると嬉しいです。