みなみはそれからずっと機嫌悪くて…
何がそんな気に入らなかったんだろう…
あっという間に放課後になった
みんなは教室から出て部活へ行った
あたしはなんにも部活に入ってない。
みなみも部活に入ってないけど…すごい
みなみは、新体操、ピアノ、水泳、バレエ、塾に通っている。完璧で、しかも可愛い。
ズキン
たくみ先輩と…。
なにズキンって。何傷ついてんの…、
そーだよね、付き合ってるんだもん、帰るなんて当たり前だよ。
走っていった。玄関で待ち合わせしてるみたい。
少しすると教室から二人が帰っていくのが見えた。
その時ちょうど雨が降っていて、みなみの傘で相合傘をしていた。相合傘をしながら…
みなみはいいなって思っちゃう。
可愛くて何でもできて、かっこいい彼氏もいて…
たくみ先輩が惚れるのも分かる。
それに比べて私は…
って私、変だよ。
まるでたくみ先輩が好きみたいに。
みなみと、付き合ってるんだよ?考えるのやめなきゃ。
たくみ先輩とみなみが完全に見えなくなったあと、私は一人で帰った。
✄--------------- キ リ ト リ ---------------✄
この頃私は "まだ" 知らなかった。
私にも "大事な人" がいた事_____。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!