第2話

幼少期
653
2017/12/08 09:42
その写真を見た私は、顔が熱を帯び、痒いような痛いような、不思議な感覚になるのを感じました。
ほんの5秒ほどのことだったので泣き声を上げることもせず、また遊ぶことに集中しました。

暫くして私の様子を見に来た母は私の顔を見るなり悲鳴をあげました。何秒か放心していた母は私の「ママ?」と言う声で我に返り、私の顔をぺたぺた触り始めました。そして「〇〇ちゃん...」と言って泣き始めました。
いつも私のことを呼ぶ名前とは違っていたので、恐らく姉の名前だったのでしょう。
ひとしきり私の顔を触り終えると、母は私を鏡の前に立たせました。
顔のない私は鏡を見せてもらえなかったので、その時初めて鏡を見たのです。

「██ちゃん見て、あなたにも顔ができたのよ。あなたのこの顔はね、あなたのお姉ちゃんの顔なのよ。良かったねえ、██ちゃん。良かったねえ。」

母の声を聞きながら私は鏡の自分を見つめました。
そして驚きました

鏡に映っていた私の顔は、写真に写っていた姉の顔そのままだったのです。

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