第5話

剥がれる
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2017/12/14 05:48
『ぺりっ』
朝起きると耳のそばでおかしな音がした。
眠たい目を擦り、状況を確認する。
掛け布団に白っぽい何かが複数落ちていた。
意外と柔らかく薄いそれをひとつ拾い上げると、
私は驚愕した。

皮膚だ。

皮がめくれるだけにしては量が多すぎる。
すぐさま鏡を見に行く。
顔の端、耳の下あたりの皮膚が剥がれている。
右側は頬まで剥がれていて、皮膚の剥がれた場所は
靄のようなものが覗き、おかしな輪郭
になってしまっている。

懸命に悲鳴をこらえ、親に相談しようかと思った。
母はこれ見たら卒倒するだろう。
母に心配はかけたくない。
とはいえこのままいるわけにもいかない。

パニックになりながら私は沢山考えました。
自分の顔については親に説明されていましたから、
『また顔が無くなったら捨てられてしまうのではないか』
そんな考えも頭をよぎります。

そんな私の思いついたことは、
小学4年生が思いつくにはあまりに残酷なことでした。

今考えれば、もっといい解決策はあったはずなのです。それでもあの時の私にはあれしか思いつかなかった。




『人の顔を貰えばいいんだ。』


姉の顔だってもらうことが出来たんだ。
きっとほかの人の顔だって。
そうだ。そうしよう。

名案を思いついたと思い込んだ私は、マスクをつけ揚々と顔探しに出かけました。

あんなことになるなんて、少しも疑わずに。






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