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第20話

dinner
169
2018/06/06 10:20
サナの兄が去った後すぐに安藤が部屋に呼びに来た。

ダイニングに案内される途中、一歩踏み出す事に痛みが走った。
歯を食いしばりながら必死に歩く。

ダイニングに着くとそこには大きなテーブルがあった。ドラマやマンガで見るような、白いテーブルクロスがひかれたテーブル。テーブルの上は色とりどりの花や料理で華やかだ。

「うわぁ...」

思わず感嘆の声が漏れる。

「いかが致しました?」

安藤に聞かれた私は我に帰り

「あ、いや、何でもないです。」

違和感を感じられないよう、少し素っ気なく返した。

席は所謂(いわゆる)お誕生日席。

紙エプロンの様なものを着けてもらいながら周りに目をやった。

安藤と私の他には誰もいない。
この料理は誰が作ったのだろう。
安藤が1人で作ったのだろうか。

私は出来立てであろう、湯気の上がるパスタを見つめる。


つい数時間前には██という存在が消えるのがあんなにも恐ろしかったというのに、私は


『あの湯気のように消えてしまえたら』


そんなふうに思った。

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