それから私は西山くんとのLINEを終わらせた。
始めるのは難しかったが、終わらせるのは簡単だった。
数学で目が合うことも、同じ電車に乗ることも無くなった。
ミカちゃんは、あの日から西山くんとの密着が多くなった。
部活も一緒だし、尚更だ。
ハヤト「おい、あなたシュンのことは諦めたのか?もしかしてフラれたのか?」
本当にハヤトは女心が分かってない。
黙ってればモテるのに。
あなた「黙ってて。」
ハヤト「俺がいるだろ。」
あなた「今、ハヤトの冗談に構ってる余裕ないの。」
ハヤトの前から立ち去ろうとすると、腕を掴ま
れた。
ハヤト「冗談じゃないって言ったら?あなたが好きだって言ったらどうする?」
ハヤトの目から目が離せなかった。
ハヤトが真っ直ぐと私を見てるから。
あなた「本気で言ってるの?」
ハヤト「俺はいつでも本気だけど。」
私の腕を掴む力が緩まった。
ハヤト「返事はいつでもいいから。悪かったな。こんなタイミングで言っちまって。」
ハヤトは笑いながら頭をかいた。
でも分かってる。
そんな軽々しい気持ちじゃないってことくらい。
あなた「待って。今言うよ。」
ハヤト「え?」
あなた「返事、今言う。」
ハヤト「いいよ。いい返事じゃない気がするし。」
下を向いていた私はもう一度、真っ直ぐとハヤトの目を見た。
ハヤトが私の目を離せなくなるくらい。
あなた「ごめん。ハヤトの気持ちにはこたえられない。」
ハヤト「うん。知ってる。まだ忘れらんないだろ?」
私は静かに頷いた。
ハヤト「悪いけど、お前の友達は何があっても辞めねぇから。なんかあったらいつでも頼れよ。」
あなた「ありがとう。」
私の周りにはこんなにも素晴らしい人ばっかりだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。