コンコンッ
『お嬢様、入ってもよろしいですか?』
「うん、入ってもいいわよ」
ねーえ、愛梨ちゃんやだよー。無視しよーよ。
と、手越が愛梨に言う声が聞こえる。
『お嬢様が俺以外の男と仲良くなっているなんて、驚きましたよ』
「なにを言っているの。仲良くな…貴?!」
『久しぶり。愛梨』
「なんで!?久しぶり!」
俺がハグを求めて両手を広げると、愛梨はその腕の中に飛び込んだ
『会いたかった』
「おかえりなさい」
『ただいま』
『おーい!俺が居る前でイチャイチャするなー!』
『すまない。イチャイチャしてるつもりはないんだけどな』
「彼は私の幼馴染の増田貴久」
『ふ〜ん』
『どうも』
「ねぇ、どうして急に帰国してきたの?」
『ちょっとね仕事で用があってさ』
「どれぐらい日本に居られるの?」
『まだ分からないけど…なに?ずっと居てほしいの?笑』
「…うん」
『相変わらず可愛いな』
「//」
『…おい!ちょっとこい!』
『?』
『お前だよ!増田貴久!』
「急になに?」
『愛梨はここで待ってて!』
『愛梨、また後で話そう』
「…うん」
その時、彼に火がついた─
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。