私の身体が宙に舞ったのはほんの数秒
私は身体がグンっと持ち上がるのを感じた。
突然のことに頭は当然追いつかず、
自分の身体を支えているものにしがみつくことしか出来なかった。
突然聞こえた声。
私はさらにパニックをおこし、暴れ始めた。
地面に激突する寸前、なんとか体勢を持ち直した謎の人(?)は私を元のビルの屋上に下ろした。
私の自殺を邪魔した人はイケメンな男の人だった。
ただちょっと服装がおかしい。
真っ黒いローブ。足が見えないほど丈が長く、
深くかぶったフードからは白い髪と綺麗な顔が見えている。
とてもまともな人と思える見た目じゃない。
こいつはやばい。私はそう思った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!