プリ小説

第4話

第三者の声
「俺、高橋のことが好きなんだ。付き合って欲しい」

彼ーー雄大くんーーにそう告げられたのは、あれから一週間ほどたったある日のことだった。
顔を真っ赤にして、でもきちんとあたしの方を向いてくれる雄大くんの姿は、つい最近まで他の人と付き合っていたとは思えない。
やっと、雄大くんを奪うことができた。
そんな達成感に浸りながら、あたしはゆっくりと頷いた。










それからのあたしの毎日は、まるで夢のようだった。
願い事叶え屋さんの力をつかい、いくつもの望みを叶えてもらった。(お小遣いの日がまだだったから、すべてツケにしてもらったが)
その願いのなかには、明日ーークリスマスーー、雄大くんとデートしたい。というものも入っていた。
そして、クリスマスデート当日。
いつもよりおしゃれな服装で待ち合わせ場所へ向かうと、雄大くんが既にいるのが見えた。
少し嬉しくなって、雄大くんの元へと駆け寄る。
「雄大くん!」
「あ、高橋」
雄大くんがこちらを見て微笑む。
「遅くなってごめん!」
「大丈夫、俺も今来たところだから」
じゃあ、行こうか。
そういって雄大くんはすっと手を差し伸べる。
あたしはそれを喜んで受け取った。











それにちらほらと星が輝いてきた頃、あたしたちは並んで大通りを歩いていた。
すぐそばには雄大くんの手がある。
なんだか、無性に
(手、繋ぎたいな、なんて)
思ってしまう。
でも、欲望には逆らえない訳で。
あたしは、そっと雄大くんの手に向かって自分の手を伸ばした。
その時、だった。


「……氷室くん?」



雄大くんを呼ぶ第三者の声に、あたしは振り向く。
そこには、こちらを凝視している、








雄大くんの元カノーー松本美咲ーーの姿があった。









シェア&お気に入りしよう!

この作品をお気に入りに追加して、更新通知を受け取ろう!

一月かのん
入賞者バッジ
一月かのん
主にホラー系などの小説を扱っております。 カゲロウプロジェクト・黒子のバスケ・文豪ストレイドッグス・ナカノヒトゲノム・鬼灯の冷徹が好きです。 『君との思い出をこの手に乗せて、』、『願い事叶え屋さん』、『いつも通りの帰り道』、『おはよう、初めまして。』 この4作品は完結済みです。 もしお時間がございましたら、ご観覧していただけると嬉しいです。 追記 『願い事叶え屋さん』を第3回プリコンのホラー賞で入賞させていただきました。 皆様、本当にありがとうございました。