第10話

*10*
612
2017/12/12 11:28
あなた

…………


テレビから聞こえてくる楽しげな声。

リアルタイムで街中の恋人へインタビューしている。
インタビュアー
彼のどこが好きですか?
彼女
え〜〜、もちろん全部っ
彼氏
おれも、全部好き
インタビュアー
きゃー、熱々ですねぇ、羨ましい〜〜!

浮かれた声と笑い声。


その様子をぼうっと見つめるわたし。

あなた

…………



いつもならなんてことなかった。


はいはい、お幸せに、とでもボヤく。


もしくは、わたしたちのほうがラブラブだもんね、と嫌味を言ったりする。



けれど、今はそれすら言う気にならない。


クリスマスイブ。


大抵、恋人たちはいっしょに過ごす日。


食事して、プレゼント交換して、手を繋いで、抱きしめあって、愛の言葉を囁きあってーー


そんな甘い時間を過ごす日ーー


だけど、わたしは……ひとりで、こんなドジをやらかしている。


そして、それを笑ってくれる人も今はここにいない。

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