ーー正門の銅像前ーー
『四季の正直さんぽ』はだいたいこの流れだ。
女性がいきたい場所を男性が警護と荷物係としてお供する。
私達の親同士は最初の学校説明会で意気投合、仲が良くなった親からの頼みともあれば、さすがに断れないのが男性の性。
それが、この状況を作り出していた。
もっとも男性に限っては、よほどやることがない、あるいはボッチが嫌なのか、どちらにしろ居心地悪そうにも見えない。
男性に行き先を教えず隣町まで、静かな住宅街を歩き始めた。
"れいこ"の肩パンが見事に入った。
日常茶飯事の出来事だ。
"れいこ"と"あなた"の顔面パンチがクリーンヒットした。
もう一度言っておくが、日常茶飯事の出来事だ。
"ワトソン"と"エイミー"は心配そうにしながら"てい"の元に駆け寄った。
この二人は保険委員を率先してやっていることもあり、優しさに関しては飛び抜けている。
この状況を周りから見れば女性が強いと思われるだろうが、実はそうでもない。
"てい"は古武術を取得している。古武術道場の実家をもつ彼は幼き頃から毎日稽古をしてるためとても強いのだ。
入学早々に上級生から絡まれた外国人留学生2人を助けたこともあり、実力は申し分なかった。
しかし、"てい"が本気を出すのは一大事のときであり普段はおちゃらけている。
そのギャップに引かれるものもいるが、さほど重要ではないので今は置いておこう。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。